2012年04月21日

授業(2)データベース・写本・翻訳

 地下鉄渋谷駅を降りて國學院大學へ向かいます。地上に出る建物は、来週26日にオープンするヒカリエというエリアです。
 かつて、ここに東急文化会館があった頃には、学校の帰りによく立ち寄りました。プラネタリウムにも行きました。今度はどんな施設になるのでしょうか。地下3階、地上34階ということです。
 
 
 

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 中の案内図も、準備が整っているようです。さて、どんな空間になっているのか楽しみです。
 若者を対象にしたお店が中心だと思われます。しかし、買うものがなくても見て回るのも楽しいものです。
 
 
 

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 さて、2回目の授業の中で無線LANを使った教材活用は、学生さんのセッティングが不十分だったので、次回としました。無線LANは、まだ何かと活用には手間がかかるようです。

 講義終了後、事務の方と相談し、次回は有線のハブとケーブルを用意してもらえることになりました。海外のサイトやデータベースを使いながら説明を加えたいので、安定した環境が必要です。設備の整っている場所でも、その活用となるといろいろと工夫が必要です。私にとっても最初のことなので、試行錯誤がつづきます。
 アプリケーションとしてのエバーノートの活用も、次回に持ち越しです。

 さて、昨日の授業は、以下のような内容でした。

(1)受講生の自己紹介を兼ねて各自の研究テーマを聞きながら、いろいろと質問する中で海外の日本文学研究の現状を話しました。

(2)日本語教育に関する研究を目指す人がいたので、国立国語研究所の論文データベースを例にして、研究のための情報検索について考えました。データベースには、それぞれに特徴があります。国文学研究資料館から公開し、研究論文を執筆する人はほとんどが調査と確認のために活用している「国文学論文目録データベース」の場合は、大学院生が実際に当該論文を読んでデータを作成しているのが特徴です。単に、論題や副題などの表面的な情報だけではなくて、その背後に研究支援のための努力があるのです。そのため、驚くべき精度で知りたい情報がヒットするのです。こうした特色を理解していると、検索する上でも有効な活用に結びつきます。

(3)『総研大ジャーナル』(第15号)に私が書いた「先端研究 『源氏物語』本文研究の新しい時代」を見ながら、『源氏物語』の本文の現状について考えました。写本に書かれた言葉を大事にしたいということを確認しました。文学研究の基本は作品の本文の読解にあるので、その基礎的研究の大切さを話しました。この本文レベルの考察では、海外の研究者にもハンディキャップは少ないと思われます。その解釈に入った段階で、日本の文化等に関する理解力が要求されます。まず問題の所在を見つける意味でも、作品の本文に目を向けることは、世界文学としての作品理解のスタート地点に立つことになります。そうした意識の大切さをとりあげました。

(4)ハーバード大学所蔵の鎌倉中期に書写された『源氏物語』の貴重な古写本や、ワシントンの議会図書館に収蔵され昨年から国立国語研究所のホームページで公開している議会図書館本『源氏物語』、そしてイギリスのケンブリッジ大学のコーツ先生がお持ちの源氏絵など、日本の古典籍が海外にあることの実情とその問題点を整理しました。それぞれに海外に流出した事情があります。しかし、とにかく今に伝えられて残っていることの意義を評価すべきです。数百年の時を経ても、読んだり見たりできるのです。こうした資料を、国境を越えて、今後の研究に有効に活用したいものです。

(5)『総研大ジャーナル』(第15号)に掲載された私の「『源氏物語』の翻訳状況」についても確認しました。世界各国で刊行されている翻訳を、今後はどのように研究対象にすべきかは、これからの問題です。言葉と文化の両面から追究できるテーマとなるので、貴重な資料でもあるのです。さらに広く調査を進める中で、まずは海外で翻訳されている作品のリストを作成することが先決問題です。『源氏物語』は私がほぼやり終えました。さらに拡大していきたいものです。

 帰りに、ラウンジでコーヒーを飲み、外に出ると目の前には八重桜が若葉をのぞかせながら咲いていました。
 
 
 

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 18階建ての若木タワーも八重桜と重なって見えました。
 
 
 
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 私がこのキャンパスに通っていた30数年前にあった建物は、今では何一つ残っていません。見違えるほど立派になっています。目に見えるものに、時代の移り変わりを感じます。しかし勉強することの意義や方法は、今も変わってはいないと思います。そうした部分で、後輩たちに考えるヒントやネタを提供し、一緒に考える時間を少しでも共有できたらと思いながら帰路につきました。
posted by genjiito at 22:30| Comment(0) | ◎国際交流
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