2012年04月17日

『十帖源氏』の「夕顔」を読む会

 『十帖源氏』を読む会が、新宿アルタ横のレンタルスペースでありました。今夜は6人が集まり、すでに公開した「夕顔」巻の現代語訳の再確認をしました。一度は現代語訳にしました。しかし、海外の方々に翻訳してもらいやすい訳文にするために、さらに検討を進めています。

 みんな仕事帰りなのですが、日本人ではなくて外国の方々にわかってもらえる現代語訳を作るという、説明しにくいおもしろさに惹かれて、こうして集まって、ああでもない、こうでもないと言い合っています。

 今日問題になったことを、いくつか記しておきます。

・原文に「はじとみ四五間あげわたし」とあるところで、「雨戸を四五枚あげて」と訳していることが問題になりました。
 雨戸ならばシャッターという訳になりそうです。しかし、それではイメージが違います。あまりにも無味乾燥で寂しい感じがするからです。いろいろな意見が出ました。結局、「雨戸」ではなくて「格子戸」になりました。外国語に訳すための現代語訳は、こんなところに神経を使っています。

・原文の「顔よき人」も、「顔の良い人」と訳されていたので再検討となりました。
 「美人」「美しい人」「かわいい人」など、いろいろと考えました。これは、内面的な美しさではなくて覗き見した印象なので、単純に「きれいな人」に落ち着きました。

・原文の「娘をば少将にあずけて」は、前回の訳では「娘のほうは少将に嫁がせて」となっていました。
 この訳では、ここに出て来る娘と少将が誰なのかがわかりません。「嫁がせる」ということも、当時の結婚の形から見ても変です。これまでの現代語訳の方針などを確認した上で、「娘である軒端荻を蔵人少将にまかせて」となりました。「娘(軒端荻)」という表記にもしないことになりました。各国語に翻訳する人が説明的な挿入句をあまり入れずに、文章がスーッと流れるような工夫をして、現代語訳を提供するのです。

・伊予介が空蝉を連れて常陸国に下るところでは、「現在の茨城県」という説明を添えました。
 東日本大震災でこの地域が世界的に知られたことを受けて、海外の方々が日本の地理的な位置関係のイメージを喚起しやすいことを思っての補足説明となっています。海外の読者が『源氏物語』の内容を無理なく、より深く理解してもらえるような配慮を心がけることが、ここで取り組んでいる現代語訳の基本です。

 現代語訳の再検討により、海外の方々に寄り添った訳文となるような方針が固まって来つつあります。
 今回の2回目の見直しを経て、あらためて多国語翻訳をしてくださる方々を募りたいと思っています。
 一つの言語で複数の翻訳があってもいいと思います。日本でも、現代語訳が何種類もあるのですから。
 すでに公開している現代語訳を参考にして、どうぞチャレンジをしてください。その際には、ご一報をお願いします。いろいろとお手伝いできると思いますので。
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ◎源氏物語
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