2012年04月11日

井上靖卒読(135)「海水着」「青いボート」「落葉松」

■「海水着」
 ショートコントです。
 ショウウインドウの中での夏と海辺での夏。仮想と現実を対比させる中で、人間の気持ちの変化を描いています。
 2人の男女のこれからが、さらに知りたくなります。
 最後に、目の前の風景が遠景となっていくことが、この2人のこれからを暗示しているかのようです。
 私は、2人がこれから急接近すると見ました。果たしてどうでしょうか。【3】
 
初出紙:青年新聞
初出年:1952年8月5日
 
井上靖全集3:短篇3
 
 
■「青いボート」
 別れを決意しての中禅寺湖への旅。それでも迷いがあり、決断をゲームにした女は、1人で湖面を漕ぎ出すのです。
 女がそのまま東京に帰るのか、それとも男の許へ引き返してくるのか。
 私の読みは外れました。
 女の若さと、井上が若い時の作品であることを考えると、納得できる結末です。しかし、晩年の井上なら、この逆の結果もあり得ると思います。
 それだけ、人の気持ちは不定である、ということでしょうか。【4】
 
初出紙:産業経済新聞
初出日:1952年8月17日
 
井上靖全集3:短篇3
 
 
■「落葉松」
 同じ頃に書かれた前作「青いボート」の姉妹編と言えます。2人の男女の背景は、まったく異なりますが。
 中禅寺湖行きのことを挟んで、女の男性遍歴と男の心の動きが克明に語られています。
 話としては雑談となっていて、散漫な印象が残りました。【1】
 
初出誌:別冊文藝春秋
初出号数:1952年8月29号
 
角川文庫:楼門
角川文庫:花のある岩場
井上靖小説全集10:伊那の白梅・大洗の月
井上靖全集3:短篇3
 
 
〔参照書誌データ〕
 井上靖作品館
 http://www2.plala.or.jp/baribarikaniza/inoue/
posted by genjiito at 23:37| Comment(0) | □井上卒読
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]