海外で翻訳された『源氏物語』は、アーサー・ウェイリーの英訳『源氏物語』(全6巻、大正14年〜昭和8年)が用いられることが多く、その第1巻(「桐壺」〜「葵」)に収録された「葵」巻までを翻訳していることがほとんどです。
そのため、我々も一旦ここで一区切りとし、最初の「桐壺」巻に立ち戻り、現代語訳などの統一を目的として見直しをしてきました。
凡例も、その後にわかった問題点などを整理しました。
見直しが終わったものから、改めて《新版》として公開することにしました。
この翻字と現代語訳を参考にして、世界各国の言語に『十帖源氏』が翻訳されることを願っています。
この翻訳にチャレンジしようと思われる方は、どうぞ名乗り出てください。
我々も、その翻訳のお手伝いをいたしますので、このブログのコメント欄を通して連絡をいただければ幸いです。
おおよそは、以下のような形式になっています。
全文は、末尾のアドレスからダウンロードできるようにしています。
『十帖源氏』は『源氏物語』の簡約です。しかし、これを機会に世界中の方々が『源氏物語』の世界を知っていただけることを楽しみにしています。
なお、この『十帖源氏』の多言語翻訳プロジェクトは、畠山大二郎君がとりまとめ役となっているものです。
メンバーも、みんなが『源氏物語』を専門的に研究している若者ばかりではありません。
この多言語翻訳プロジェクトの現代語訳部分に参加したい方も、本ブログのコメント欄を通して連絡をいただければ、勉強会の情報をお知らせします。だいたい月2回、新宿の喫茶店で7人ほどが集まって、ああでもない、こうでもないと言い合っています。
《凡例》(一部)
『十帖源氏』の凡例 平成24年2月版
◆現代語訳について
・海外の人が理解できるよう、平易な文で訳すことを旨とする。
・公立高校入試を控える中学3年生くらいのレベルで現代語訳を作っていく。
・「です」「ます」体に統一する。
・主語を明確にする。
・できるだけ理解しやすいように言い換える。
・文はできるだけ切る。
・敬語にはこだわらず、忠実でなくともよい。
・敬語は帝につける程度でよい。
・「何とか」といった抽象的な語はさける。
・「方」は、「女性」「男性」「人」などの語に置き換える。
・「もの心細げ」の「もの」は、心細い「感じがする」といったように訳出する。
・訳文は1文が長くならないようにする。1文は50字くらいまでの長さが好ましい。100字以内に収めるようにする。
・「そば」という言葉を用いるときは、平仮名表記。
・和歌は訳さず、句ごとにスペースをおき、表記通りにする。
(以下、省略)
《「桐壺」》(一部)
『十帖源氏』巻一「桐壺」
〔2・ウ〕
〈絵1〉 八月十五日の夜、石山寺で、紫式部が、『源氏物語』を書きはじめた場面
〔3・オ〕
【翻刻本文】
いづれの御時にか、女御かうゐ、あまたさぶらひ給ける
中に、いとやんごとなきゝはにはあらぬが、すぐれてとき
めき給ふありけり。〔割・いづれの御時とは、醍醐天皇をさしていへり。/時めき給ふとは、「きりつぼの更衣」の事也。〕
梨壺、照陽舎 桐壺、淑景舎 藤壺、飛香舎
梅壺、凝花舎 雷鳴壺、襲芳舎
此きりつぼにすみ給ふかうゐを、御てうあひあれば、
きりつぼのみかどゝも申也。あまたの女御かうゐそね
みて、あさゆふの御みやづかへにつけても、心をのみうご
かし、うらみををふつもりにや、あつしく成ゆき、〔割・をもき/病也〕
物心ほそげに、里がちなるを、みかど、いよ/\あはれに
【現代語訳】
(桐壺)
いつの時代のことでしょうか、女御とか更衣とか、そういったお后が大勢いらした
中に、特に高貴な身分ではなくて、帝にとても愛されて
いらっしゃる女性がいました。〔「いつの時代」とは、〈醍醐天皇〉の時代のことです。
帝に愛されていらっしゃった女性というのは、〈桐壺の更衣〉です。〕
梨壺は照陽舎、桐壺は淑景舎、藤壺は飛香舎、
梅壺は凝花舎、雷鳴壺は襲芳舎ともいいます。
この桐壺に住んでいる更衣を愛されたので、
この時の帝のことを〈桐壺の帝〉ともいうのです。大勢の女御や更衣たちはくやしがって、
毎日〈桐壺の更衣〉が帝の近くにいることに、嫉妬をして
ばかりいました。そうやって、他の后たちの恨みをたくさん作った結果でしょうか、体が弱くなっていきました。〔重い病気です〕
心細い感じがして、自宅に帰っていることが多い〈桐壺の更衣〉のことを、帝は、これまで以上にたまらなく
(以下、省略)
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