2011年12月02日

名和先生の連続講演も最終回「歌合(2)」

 名和修先生の「古典資料の創造と伝承」と題する連続講演会も、今日の第5回「歌合(2)」で最後です。

 今日も、会場はギッシリ満員でした。
 最終回は、男性の参加が増えたようです。

 最初に、「外は非常に寒いですが、私は上着がいらないほどにカッカと燃えております。」という元気な言葉で始まりました。

 今日は二十巻本の話が終わってから、十巻本の話ができたらいいが、と、歌合について語り出されました。二十巻本の巻十二「大臣 下」に収められた歌合の主催者である藤原忠通のことを、配布資料の系図を見ながら詳細に話されました。

 続いて、目録のことになり、歌合のために罫線が引かれた用紙の説明へと話は移りました。

 類聚歌合の資料の中の紙背文書は、歌合集を作成するための目次の役を果たすものであり、今で言うプログラムだとのことです。現在陽明文庫に残っている資料では、罫線はあまり明確ではないとも。

 用紙に書かれた筆跡の違いを、スライドで見ていきました。

 近衛家の方々も、年齢によって書かれている字が変わってくる場合があるそうです。人の書く文字は変わる場合と変わらない場合があり、また家熙さんの字も、慕う人が書くと自ずと似通ってくるそうです。周辺の人が書くと、字が似てくることもあるようです。これは、非常におもしろいことです。と同時に、筆跡鑑定の難しさでもあります。
 字から人物を同定することは、それだけ難しいという話になりました。

 私は、巻八の「六条斎院禖子内親王物語歌合」の話をもっと聞きたいところでした。しかし、もう残された時間がありません。話はどんどん進んでいきました。

 今回の講演会の内容は、古写本や巻子本の書誌や筆跡に拘ったものでした。
 筆跡の異同を写真で見比べるという、いわば玄人好みの話題です。萩谷朴先生の筆跡の認定を紹介しながら、筆者の違いをスライドに映しながら確認し、墨で書かれた文字を見ていかれたのです。
 それを一般の方々が、研究者ではない方々が熱心に聞き、配布資料に目を通し、スクリーンを見ながら、多くのメモを取っておられるのです。

 名和先生が、提示された資料に書かれている歌合の中の和歌を、懇切丁寧に解釈されることはありません。あくまでも、紙に書かれた文字というものに集中しておられるのです。
 その展開と会場のみなさまの姿を最後列で見聞きしていて、名和先生の話に引き込まれている参会者の方々のレベルの高さを実感しました。
 そして、そのような内容をごく自然に語り進め、普通に話し終えられた名和先生の巧みな話術に感心しました。

 これまで通り、3分超過で講演を終えられました。ただし、最終日ということもあり、その後で和歌史を踏まえたまとめがあったために、結局15分オーバーでした。

 名和先生、5回にわたる連続講演をありがとうございました。
 非常に密度の濃い時間を共有できました。

 終了後すぐに、下の階で開催されている特別展示を見に行きました。
 本日のお話にでてきた国宝や重要文化財を、しっかりと眼に収めました。
 本当に、贅沢なことです。

 今回の特別展示「王朝和歌文化一千年の伝承」は、12月4日(日)までですので、後2日となりました。すでにご覧になった方はもう一度、まだの方はこの機会にぜひとも立川に足をお運びいただければ、と思っています。
posted by genjiito at 22:43| Comment(0) | ■古典文学
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