2011年11月02日

吉行淳之介濫読(8)「重い体」「夜の病室」

■「重い体」
 
 病院で退屈をまぎらわす話です。
 自殺した山田さんのことを、もっと知りたくなります。
 すべてが、外から見た人間の生きざまとなっています。【2】
 
 初出誌 『別冊文藝春秋』昭和30年
 
 
■「夜の病室」
 
 結核で肺を病んだ男の、入院中のベッドの上での話です。
 24人が一部屋にいる状況を読みながら、昨夏自分が入院していたことを思い出しながら、つい我が事と引き比べていました。
 私が入院したのは、新築数ヶ月の新棟でした。この小説のように、木製のベッドの軋む音や、天井の穴やシミ、ましてや床の釘が踏まれると音をさせることはありませんでした。しかし、ベッドに横たわる患者の気持ちは、今も昔も大きくは変わりません。いろいろと、不安の中にいることに違いはないのですから。
 聴覚だけの世界を語るくだりも、その状況がよく伝わってきます。
 作者と読者の体験が共有されるということが、作品を読んでいく上では少なからず影響することを、この作品で痛感しました。体験を作品の理解度に持ち込むのは、果たしてどうなのか、どのような議論が交わされているのかわかりません。しかし、作者と共有できる体験は、解釈に深く関わることは確かだと思いました。【3】

 初出誌 『新潮』昭和30年
posted by genjiito at 22:32| Comment(0) | □吉行濫読
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