2011年08月02日

読書雑記(40)永江朗『そうだ、京都に住もう。』

 永江朗『そうだ、京都に住もう。』(京阪神エルマガジン社、2011.7)を読みました。
 セカンドハウスを京都に持ち、一月の三週を東京で、一週を京都で過ごすようになるまでの顛末を、楽しく語っている本です。
 自分で家を建てることに興味のない方でも、きっとおもしろく読み進められることでしょう。
 
 
 

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 話の合間合間に、たくさんのお店が紹介されていて、京都の食べ歩きや、京都のお買い物情報が満載なのです。しかも、選りすぐりの店です。店頭に並ぶ京都本とはひと味違う京都巡りができます。

 寺町三条にある「スマート珈琲店」にはじまり、寺町二条の「グランビエ寺町」まで、65ヶ所のお店が紹介されています。私がまだ行っていないお店がたくさん出てきました。通りかかったら入ってみることにしましょう。
 世に言う観光地は、上御霊神社と晴明神社だけです。

 巻末のリストと地図を見ながら、お話を読み進めました。結構、通の京都の旅を堪能できます。

 和菓子の「とらや」の話に、こんなくだりがあります。


東京の人は[とらや]は東京の菓子屋だと思っている。しかし元々は京都の店。明治維新で天皇が東京に移るとき、[とらや]も一緒についていった。それが赤坂の[とらや]。京都の人に東京土産として[とらや]の羊羹を渡して「うれしいわあ。地元にいても、こんな高級な物はめったにたべられまへん」とイヤミをいわれる、という伝説もある。(107頁)


 実は、これには私も思い当たることがあります。
 東京の知り合いをある方に紹介したときのことです。知り合いは、お土産に「とらや」の羊羹を持参されました。その時は、ストレートに「とらやは京都の店でなー」と笑いながら受け取ってくださいました。

 インタビュー形式のコーナーが3編あります。その中の「ガエまちやの裏側 A設計編 河井敏明さん(建築家・京都大学非常勤講師)で、こんなことが語られています。


Q6 京都で町家が消失して、街中にマンションが増えていく現状に対して、建築家としてどう思われますか?

●現代の町家をつくる
 今の姿を端的に言えば「ひどい」。(中略)
 マンションがいけないことは絶対ないんですよ。博物館的に京町家だけ残ったって仕方ないんです。町家は生活文化の表徴物だから生活がなければ価値がない。マンションだって町家たり得る。町家って要するに民家なんだから。ただそれがなんであんなチープなものなんだと。それにはいろんな問題があって、たとえばマンションをあんなに安く買えるということが問題。要はフリーライダーです。マンションを安い値段で買って、京都というメリットは享受するんだけど、それに対する(都市の価値への貢献という)対価を払わずに、都市の質を下げてしまう。むしろ削り取ってるわけだから、フリーライダーどころじゃないわけですよ。(138頁)


 久しぶりに、一気に読み終える本に出会えました。
 今、一番の推薦書です。
posted by genjiito at 23:52| Comment(0) | ■読書雑記
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