日本史の研究も日進月歩です。
私が認識している日本歴史の中でも、平安時代の実態が近年はいろいろと新たな視点で論じられているようです。
自分が知っている世界は、たかがしれているのですから、折々に新しい知見を得るように努力しています。
あまりにも専門的な本は荷が重いので、概説書が重宝します。本書も、そうした動機で読み始めました。そして、興味深くおもしろく読み終えました。
まずは、いつも頭を悩ます、人名をはじめとする固有名詞のことを記しておきます。
自分が書いている文章の中であれば、漢字にしておけば読み方を知らなくてもいいので、何とかその場しのぎでごまかせます。しかし、人と話をしている時などは、人名や固有名詞を発音しなければなりません。たいがいは、音読みでごまかします。しかし、いつも逃げ腰の自分に、何とかしなくては、と叱咤激励したりもします。
そんな時、一般読者を意識した本は、ルビ(読み仮名)が付いているので助かります。
本書でも、次のような例がありました。これはメモをしておく価値がありそうです。
ただし、メモの内容を記憶し続けることが年々難しくなってきたので、最近は何でもかんでも「エバーノート」に記録保存しています。覚えきれないので、iPhone の中にとりあえず入れておくのです。必要な時に探し出せたらラッキー、という類のメモの集積場所です。
・「大海人(おおしあま)皇子」=壬申の乱で知られる。後の天武天皇(93頁)
・「敦仁親王(あつぎみ)」=13歳で元服と同時に醍醐天皇として即位(125頁)
・ 「寛明(ゆたあきら)親王」=後の朱雀天皇(137頁)
・「仁善子(にぜこ)」=藤原時平の娘で熙子の母(138頁)
さて、本書は近代化のさきがけとなった明治期に、平安時代がどのように認識されていたか、という話題で始まります。
文化史的にみれば、日本の近代化は、平安時代の排除からはじまったといえなくもない。(iv)
とあるように、明治と平安は「類似」する点の多いものだったようです。
そこで、「虐げられた時代」をもう一度現代に呼び戻すことを目的として、本書は記されています。
私がチェックしたことを、以下にいくつか列記しておきます。
・摂関政治によって、天皇の権能が藤原氏に奪われたとか、天皇が蔑ろにされたなどということはない。(97頁)
・二〇一一年三月に起きた東日本大震災との関連で注目されている地震として、貞観一一(八六九)年五月に東北地方で起きた大地震がある。(中略)今回の津波の規模とそれほど違わないことになる。今後のさらなる研究がまたれる。(109頁)
・寛平六年に遣唐使を廃止したとする見解をみかけるが、これは明らかに誤りである。(中略)寛平六年段階ではあくまで遣唐使派遣停止が正しい。
また、遣唐使の停止をもって「国風文化」が発生したとする説もいまだに眼にすることがある。しかし、この説が的を射ていないことは明白だろう。(159頁)
・武士とは一種の殺し屋でありながら、武力を必要とした都の人々に、眉をひそめられながらも用いられた必要悪であったといえるだろう。(187頁)
本書には、9頁にわたる索引があります。読み終えてから、いつでもこの索引を手がかりにして、内容に立ち戻れます。
また、略年表と参考文献も重宝しました。
一般的な読み物のスタイルをとりながら、こうした心遣いがなされていることに、好感のもてるものとなっています。
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