2011年07月13日

佐倉にある歴史民俗博物館で古筆を熟覧

 千葉県佐倉市にある歴史民俗博物館で、国文学研究資料館との交流フォーラムがありました。お互いに、大学共同利用機関法人 人間文化研究機構と国立大学法人 総合研究大学院大学に所属する兄弟組織です。しかし、イベントで共同開催などの協力体制はとっても、教職員レベルでの全体としての交流はあまりありませんでした。そこで、まずは風通しをよくしよう、というところからの今日の企画です。
 暑い中、成田空港に近い所まで行くのですから、その道中だけでぐったりです。しかし、実り多い1日となりました。

 博物館の中は、一般の観覧者が立ち入らない所は冷房が効いていないので、通路を間違えると行き倒れになります。案内してくださる方にしっかりと付いて歩き、博物館のバックヤードと言われている場所を見て回りました。

 展示資料の収蔵庫は、書籍や文書に留まらず、歴史民俗資料など広範囲に集められているので、大規模なものでした。階によって湿度と温度を変えて管理されており、その分類と整理の大変さが知られます。
 6年前に、学芸員の資格を取るための勉強をしていた頃を思い出しました。大切な資料を保存管理し、それを展示に活用する背景には、日々の調査研究を土台とした地道な苦労があります。
 ごくろうさまです、と頭が下がります。

 展覧会場も、今回の目的に関するものが展示してある一角は、展示担当の先生の説明で見せていただきました。
 私は、『源氏物語』の高松宮本といわれるものを、じっくりと見ました。今日は第43巻「紅梅」が出ていました。
 15世紀後半に書写された本です。複製本も刊行されており、これまでにも原本は何度か拝見しています。しかし、写本はその時々に様々な顔を見せます。

 今日は、この本が意外と小さいものであったことを、改めて認識しました。河内本というと、つい大型本を思い描いてしまうのです。この高松宮本は、尾州家本など他の河内本と呼ばれる本よりも、一回りも二回りも小さいのです。
 本の大きさは、その性格を知る上で大切な情報となるものです。

 その後、歴博ご所蔵の高松宮家伝来の禁裏本などを、別室でじっくりと拝見しました。
 大型の和歌懐紙を貼り込んだ御手鑑は圧巻でした。後水尾天皇や近衛信尋のものなどなど、風格のある手で大きな懐紙に和歌が書かれていました。見るだけで、いい勉強になります。贅沢な時間の流れに身を置くことができました。

 文学研究の基本は、とにかく原稿・原典・原本を見ることだ、と思っています。
 熟覧の手配をしてくださったみなさま、ありがとうございました。
posted by genjiito at 23:41| Comment(0) | ■古典文学
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