2011年04月06日

『源氏物語大成』の背景と資料(1)

 かつて池田亀鑑が『源氏物語』の研究をし、『校異源氏物語』から『源氏物語大成』までを作っていた東京のお宅で、ご子息との面談が叶い、長時間にわたってお話をうかがうことができました。

 たくさんの貴重な情報や資料が確認できました。
 その中から、まずはこんな小道具から報告しましょう。

 池田亀鑑は、さまざまな手法で『源氏物語』の写本を読み取っていました。乾板写真、映写機、青焼き写真、敷き写しなどです。そうして集めた資料から『源氏物語』の本文を読み取ることで、『校異源氏物語』ができたのです。昭和10年代のことです。
 こんな写真が残っていました。初めて一般に公開される写真となります。
 映写機によって撮影した『源氏物語』の写本のフイルムを確認している、昭和28年頃の池田亀鑑の姿です。
 
 
 

110406_film
 
 
 
 このフイルムを見る道具については、池田晧氏が「この道一筋に―亡兄池田亀鑑を想う―」(『水茎』第10号、平成3年3月)で、こう書いておられます。


フイルムは、今日のようにゼロックスがあるわけではなく、一枚一枚を引き伸ばしては更に大変な費用がかかる。そこで特殊な箱を考案し、曇りガラス板の下に電球を入れ、その上でフィルムを動かし,拡大レンズで片目で文章を読む。これはまことに神経のつかれる仕事であったので、たびたび交代した。(50頁)


 なお、松尾聡氏にこんな発言があります(『リポート笠間 第35号』平成6年10月)。


昔からある普通の映画のフィルムです。その小さいのをルーペで見ながらやるのでかなりつかれました。(12頁)


 この発言によれば、ここでは電球入りの箱を使う前の話のようです。

 その問題の箱というのは、こんな箱だったのです。
 
 
 
110406_camera1
 
 
 

 これは、池田亀鑑が大工さんに作ってもらったもののようで、木でしっかりとできています。
 下の空間に20ワット位の電球を入れます。そして、上の小さな四角い磨り硝子のところにネガフイルムを置き、下からの照明を当てます。そして、その下からの光を通して、フィルムの画像を虫眼鏡で読むのです。
 このような道具を活用して、『源氏物語』の写本を読んでいたのだそうです。これを使ったたくさんのお手伝いの方々が、何人も目を痛めたそうです。

 内部の構造は、電球を入れるだけなので非常にシンプルです。
 
 
 
110406_camera2
 
 
 

 池田亀鑑は、今でいえば機械マニアとでもいえるところがありました。便利な道具を追求していたのです。
 ご子息は、ご専門が医用生体工学という分野のエンジニアです。お父さんの血を引いておられるようです。

 実際にご自宅にあったフイルムを出してくださったので、この道具の上に置いてみました。
 このフイルムは、高松宮本『源氏物語』を映写機で撮影したものです。
 
 
 
110406_camera3
 
 
 

 こうして置いてみると、この道具にはその上を覆うものがあったと思われます。上部端に小さな釘穴が確認できるので、上に開く形の、押さえの役目をする板が付いていたと思われます。このことは、今後とも写真の整理が進むと判明すると思われます。

 とにかく、いろいろなものが残されています。
 可能な限り、ここに紹介していきたいと思います。
 まずは第一報として、フイルムを読み取る小道具を、簡単に記しました。
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | □池田亀鑑
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。