2010年12月14日

吉行淳之介濫読(5)「藁婚式」「薔薇販売人」

■「藁婚式」
 感覚に訴える小説です。
 ことばで情景を刻んでいきます。鋭さを感じました。
 ねずみ色の壁に囲まれた部屋が、吉行の小説の雰囲気を作り出します。
 二人の男と女の心象風景が、丁寧に語られていきます。
 私は、どうもこの手のスタイルは苦手です。作者の一人芝居を見ているようなので……。
 空襲が背景にあり、現実との接点を持っています。【2】
 
 本作は、吉行が原稿料をもらった最初の作品です。
 
初出誌
季刊誌『文学会議』昭和23年12月
 
 
■「薔薇販売人」
 石膏色やねずみ色や昆虫が雰囲気を作ります。
 色覚と嗅覚を敏感にさせる小説です。
 空襲が背景に出てきているのが、この時期の吉行の特長です。

 自分のスタイルを作ろうとしているかのように、半ばで作者が顔をだします。
 そして、男と女の心理劇が始まります。駆け引きが巧みです。やがて、恋愛遊戯に近い採点遊びとなっていきます。しかし、最後に意外な行動が、読者の予想を収束させます。
 この、膨らんだものを急激に萎ませるのも、吉行の手法の一つです。【2】
 
初出誌
『真実』、1950(昭和25)年1月1日、新年号
posted by genjiito at 23:55| Comment(0) | □吉行濫読
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