2010年09月27日

西国三十三所(4)青岸渡寺

 週末に、本州の南端、和歌山県の那智・勝浦・太地に転地療養にでかけました。
 異常続きだった暑さもすっかりと和らぎ、秋の気配の紀州路でした。

 まずは、紀伊勝浦駅に降り立ちました。
 駅前のロータリーには、佐藤春夫の「さんま、さんま、さんま苦いか塩つぱいか。」で知られる「秋刀魚の歌」の碑がありました。
 
 
 
100925_sanma
 
 
 

 この地は、佐藤家の屋敷があったので、その縁でこうして碑が残されているのです。
 春夫のこの詩の背景には、友人だった谷崎潤一郎の妻千代との「細君譲渡事件」(昭和5年)があります。ただし、今は那智山へ行くのが目的なので、この話はまたの機会にしましょう。

 お参りの途中で、熊野古道のほんの一部を歩きました。
 
 
 
100925_kodou1
 
 
 

 鬱蒼とした森を1本の道が続いています。
 厳粛な気持ちになっていたとき、忽然と市女笠にむしの垂衣の壺装束姿をした、艶やかな女性がやってきました。
 
 
 
100925_kodou2
 
 
 

 何かの撮影かと思いきや、聞いてみると貸衣装で古道を歩いているのだそうです。『源氏物語』の玉鬘も、長谷寺へお参りするときには、こんな姿だったのでしょうか。今の若い人に対して、これはなかなかいいアイデアだと思いました。京都の街中で舞妓姿で散策をしている、あれの鄙バージョンということです。背景がいいので、きっとその気になって千年前の世界を味わっておられたことでしょう。
 後ろ姿も決まっていました。
 
 
 
100925_kodou3
 
 
 

 紅の懸帯がアクセントになっていて、いい雰囲気でした。もっとも、横で介助をしている男性の首に巻かれたタオルが、何とも写真向きではありませんでしたが……

 青岸渡寺の本堂は、いつ来ても熱気があります。
 西国札所第一番という重みも感じられます。
 
 
 
100925_hondou
 
 
 

 この前ここに来たのは、突然に母が意識を失ったため、その回復を願って来たのでした。ちょうど6年前の9月です。
 あのときは、私が中国の旧満州から帰国したばかりでした。
 母が旧満州から日本に引き揚げて来るときにいたと思われる、長春の街中を案内してもらっていたちょうどその時間に、母は意識を失ったのです。

 娘と話をしているうちに、母がよくなるように西国巡りを思い立ち、まずは第一番の那智へ行こうということになりました。
 朝早くに車でスタートし、高野山を抜けて一路南下し、この青岸渡寺に来ました。本堂でこれから巡るためのお軸を買い、こうして4回目の西国巡拝をスタートしたのでした。
 その日の内に車を北に走らせ、夜中じゅう運転をして深夜に、どうにか当時いた奈良の平群の自宅に帰り着きました。
 私も、50そこそこで若かったからこそできたことです。

 今回のお軸には、御詠歌を書いてもらっています。
 
 
 
100925_goeika
 
 
 

 この那智山には5回目ですが、いつ来ても気持ちが落ちつきます。
 それでいて、瀧は雄大な気持ちにしてくれます。不思議な霊地です。
 
 
 
100925_taki
 
 
 
 今日の泊まりは、隣町のクジラで有名な太地です。
 船で上陸しようと予定していました。しかし、昨日の台風の影響か、波が高いということで、今日は太地のクジラ浜には行かないとのことです。それでも折角なので、船で紀の松島めぐりで、勝浦に戻るコースに乗りました。
 
 
 
100925_matusima
 
 
 

 確かに、船は大揺れでした。それだけ、景色も荒々しくて雄大でした。

 宿から迎えに来てもらい、太地に移動しました。
 夕陽がちょうど沈むころで、きれいな夕焼けを見ることができました。
 
 
 
100925_yuuhi
 
 
 

 体調がよかったこともあり、炭酸が胃に負担をかけるので当分は控えたら、といわれていたビールを飲んでみました。旅先だからこその、ささやかな冒険です。身体に異変があったら、との思いはほとんどなく、おいしく地ビール「熊野古道麦酒」を飲みました。
 
 
 
100925_beer
 
 
 

 古代米を使ったビールとのことで、いい香りに口当たりとのどごしが爽快でした。もっとも、お腹を守るために、のどごしが云々と言えるような飲み方はできません。チビリチビリとビールを飲みました。
posted by genjiito at 23:58| Comment(0) | ・ブラリと
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。