引き続き、平成17年から第二期にあたる『源氏物語別本集成 続(全15巻)』をスタートさせ、昨年7月に第6巻(22巻「玉鬘」〜27巻「篝火」)を刊行しました。
この第二期では、第一期の3倍の分量の写本を対象としているため、約30億字を読む計画です。
そして明日、平成22年6月25日に『源氏物語別本集成 続 第7巻』(28巻「野分」〜32巻「梅枝」)が刊行されます。
ただし、この巻をもって、ひとまず『源氏物語別本集成 続』は中断とさせていただきます。
予定していた全15巻の道半ばではありますが、諸般の事情で継続を断念することにしました。出版社の方からは、このまま刊行を続けたいとの強い意向を伺っています。しかし、あくまでも私の問題なのですが、版下作成までの工程を責任をもって管理できない状況にあり、この中断は致し方のない判断と言わざるをえません。
たくさんの方々の理解と協力を得て、ここまで続けて来られたのは、本当に幸いでした。
お世話になったみなさまに、感謝と共にお礼を申し上げます。
今後は、ネット公開を視野に入れた、新たな取り組みをしていくつもりです。
ただし、そのためには、これまでの翻刻本文データの整合性を確認し、手元の『源氏物語』に関する本文データベースの大手術をする必要があります。
また、『源氏物語別本集成 続』の第8巻以降の巻である、第33巻「藤裏葉」から第54巻「夢浮橋」までの、残された写本の翻字作業もあります。試算では、およそ15億字の確認が今後とも必要になると思われます。
しばらくは、次のための準備期間ということで、お許しをいただきたいと思います。
その報告は、このブログの場を借りて、折々に記していくもつりです。
『源氏物語』の本文のデータベース化は、昭和55年の暮れからでした。あれから、もう29年が経っています。
当初の状況は、拙著『新・文学資料整理術パソコン奮戦記』(昭和61年、桜楓社)に記した通りです。
この本を、毎日新聞の姫野聡さんが新聞に取り上げてくださってから、『源氏物語』のデータベース化は予想外に進捗し、たくさんの方との出会いが生まれました。
また、伊井春樹先生を中心に発足した「日本文学データベース研究会」は、日本文学と情報処理の接点において、多くの新提言をすることとなりました。
華やかに見えた『源氏物語』のデータベース化も、実は根気だけが勝負の、地味な作業の積み重ねでした。
写本を読み、翻字して、パソコンに入力します。集まった諸写本の翻刻データをパソコンで処理して、版下作成ソフトで整形します。そして、校正を繰り返して出来上がった版下を、出版社を通じて印刷所に送ります。すると、印刷・製本された『源氏物語別本集成』の完成です。
こうした工程を、20年以上も続けて来たことになります。
特に、第一期と第二期では、翻刻本文に対する付加情報が異なります。第二期が圧倒的に詳細なので、第一期の翻刻データも第二期に合わせて、早い段階で付加情報を整備する必要があります。
そのためにも、まずは写本を読んでいただく人材の確保が大切です。
実際には、すでに翻刻してあるデータを校正する方式で、新しい写本のデータを作成しています。
実作業の一例をあげます。第34巻「若菜上」の場合です。
これは、すでに完成している大島本の翻刻本文を紙に印刷し、そこに正徹本の本文を、赤字で校正する形で記入しているところです。
大島本の翻刻データに、この赤字で修正された箇所を訂正入力することで、正徹本の翻刻データができあがります。
翻刻データを作成するということは、この校正のような作業をしていただくことです。決して、写本に書かれている文字を、サラサラと白い紙に書いていくのではないのです。ご安心ください。
ご覧の通り、「みゆき」を「御幸」に、「としころ」を「年比」にと、仮名を漢字にするケースがほとんどです。
そして、データ処理のお手伝いをしていただく方も、重要な役割を担うことになります。この赤字が入った紙を見ながら、パソコンを使って文字の修正などをするのです。
とにかく、一大プロジェクトチームの再編成です。
自薦・他薦を問わず、手伝ってやろうというボランティア精神の旺盛な方からの連絡を、じっと待つことにしています。
嬉しい連絡を、新たな出会いを、楽しみにしています。
【◎源氏物語の最新記事】
- 宇治の病院で『源氏物語』の索引作成をしな..
- 京都駅で相愛大学本の臨模本について打ち合..
- これも『源氏物語』の受容資料(?)
- 違和感のある『源氏物語』の作者は紫式部だ..
- 筑紫女学園大学の学生さんに向けてネットを..
- ご案内2題(2/2)宮川さんの作品展が古..
- 山下智子さんの女房語り特別企画のご案内
- 明後日8月27日に各国語訳『源氏物語』の..
- 池田本「桐壺」の語彙索引を現時点での成果..
- 山下智子さんの京ことばによる女房語りのご..
- 今年は春があったのでしょうか
- 「京ことばで聞く源氏物語【紅葉賀】」(2..
- 本年後半は『源氏物語』本文データベースの..
- 東京・天理ギャラリーの源氏物語展
- 同志社大学の企画展「源氏物語の世界」の紹..
- ヘブライ語訳『源氏物語』を42種類目の翻..
- 山下智子さんがCDで女房語り「紅葉賀」を..
- 山下智子さんの来月の源氏語りの会は「若菜..
- 与謝野晶子の『新新訳源氏物語』の草稿に関..
- 《宮川版 臨模本『源氏物語』》に関する詳..
