2010年03月28日

京洛逍遙(131)平等院で舞楽「延喜楽」

 宇治の平等院鳳凰堂の内陣に、国宝となっている壁画「仏後壁」があります。その絵に近赤外線を照射して調査したところ、舞楽の絵に下絵の線が見つかったそうです(京都新聞、2010年3月24日、以下、この記事を参考にしてまとめます)。

 平等院から提供されたという写真を転載します。
 まず、舞人が描かれている仏後壁の原画の一部です。
 
 
 
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 次に、近赤外線画像です。
 
 
 
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 この白黒写真の左側に、舞台の上で手を広げて舞う人が2人います。舞人の手の下側に、下絵の線が確認できます。絵の右上には笛を吹く人が、右下には太鼓を打つ人が描かれています。
 この左側の舞人の下絵は、コマ送りのようにいくつかの振りの姿が描かれていたのです。
 信貴山縁起絵巻の「尼公の巻」で、命蓮上人を訪ねる姉が、東大寺の大仏様の前で祈ったり仮眠したりする様子が、パラパラ漫画の部分のように描かれていることを思い出しました。いわゆる、異時同図法といわれるものです。平安時代から、このような描写はなされていたのです。

 平等院の絵では、左右の腕を斜めに大きく広げて舞う姿と、原画の衣装が緑色であることから、ここでの演目が平安時代に作られた「延喜楽」であることが確認されたそうです。
 平安時代の舞楽で、その動きが絵で確認できたのは、これが初めてだとのこと。「延喜楽」は平安時代の舞楽家であった藤原忠房が作曲した舞とされ、慶祝の意味を持つものです。

 この「延喜楽」という舞楽を「いちひめ雅楽会」が演奏し、舞って奉納されるとのことなので、取るものもとりあえず、かけつけました。
 「極楽浄土の調べ」と題して、鳳翔館で行われた1時間ほどの野外での実演に、肌寒さを怺えて参加してきました。

 雅楽の演奏は、公家衣装の直衣でなされました。
 最初に、よく知られている「越天楽」が演奏されました。
 続いて、「迦陵頻」でした。ここでは、4人の女性が極楽浄土にいるとされる鳥の扮装で舞います。
 人面鳥身とのことで、想像上の鳥を彷彿とさせる舞でした。
 
 
 
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 座った場所が悪くて、立って撮影することができなかったので、こんなアングルで失礼します。

 「迦陵頻」については、かつて本ブログ「米国と文化について考える」で書きましたのでご参照を。

 最後に、本日のメインとなる「延喜楽」でした。
 
 
 

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 中央正面に一人の僧の声明が、その後ろで4人の男性の舞人が舞います。
 鳳凰堂の壁画に描かれていたもの、ということで、いつもなら眠たくなるはずの舞楽が、今日は最後までジッと目を凝らして見続けました。
 声明は、アーとかウーとかエーと、とにかく気の遠くなるようにのんびりした調子で続いていました。本当にご苦労さまでした。

 その後は、夕刻から「ゆうしょうのつどい」というものが催されました。
 鳳凰堂の西面扉には、日没の太陽を想い浮かべながら瞑想する仏教の教えの「日想観」というものが書かれているそうです。今日は、それを体現するものでした。
 
 
 
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 鳳凰堂の阿弥陀如来に対面し、沈む夕陽に向かって読経するのです。寒い中、これは大変な業です。
 今日は生憎の曇り空で、夕陽に染まる鳳凰堂は拝めませんでした。
 生きていれば、いささか大げさですが、またいつか巡り会えることでしょう。
posted by genjiito at 00:15| Comment(0) | ◎京洛逍遥
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