2010年01月07日

銀座探訪(19)桂離宮の写真展

 銀座のスポーツクラブで今年の初泳ぎをした帰りに、斜向かいにある和光で、興味深い写真展があったので立ち寄りました。
 
 
 
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 三好和義写真展「京都の御所と離宮 帝の楽園」という展覧会でした。
 
 
 
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 私が写真展に行くのは、本当に珍しいことです。今回は、桂離宮をテーマにしたものだったので、見てみようと思いました。無料だということが決め手ですが……。

 場所は、銀座四丁目の本店(旧服部時計店)ではなくて、2筋北の並木通りと松屋通りの角にある並木館の5階です。
 会場の入口の説明を見て驚きました。なんと、写真はエプソンのインクジェットプリンタで印刷したとのことなのです。そういわれれば、確かにデジタルらしい色合いと、エッジのボケ工合が認められます。

 展示されていたのは50点ほどでしょうか、30分ほどで見終わった頃に、これからギャラリートークをします、とのアナウンスがありました。後で知ったことですが、原則としては土曜日なのですが、平日でも作家在廊日はギャラリートークを開催するとのことでした。
 今日が初日だったこともあるのでしょう。ラッキーでした。

 写真を撮ったご本人の説明を聞きながら見ると、確かにその写真の意図が理解できます。
 語り口が柔らかで、聞きやすい説明でした。苦労話も間近でたくさん聞きました。

 庭石の写真の説明では、苔を覆っていたテグスを消したとのことでした。

 コンピュータのソフトウェアの力を借りて写真を一枚の芸術にするのは、写真の絵画化ではないかと思いました。
 もちろん、フイルム現像でも、いろいろな技巧が可能です。しかし、デジタル写真ではさらに作品にする過程での人工の手が巧みに入ります。その技術は、ファッション誌のモデルの写真を見ればわかります。最近も、ラルフ・ローレンのポスターで、ウエストが頭より細い写真を、それも日本でだけ公開されたことで話題となっています。過剰なデジタル修正です。
 ゴミダメでも、一瞬のうちに宮殿と化します。
 私も、このブログの写真にはフォトショップを使っているのでよくわかるのですが、ソフトウェアでできないことはありません。ただし、私はほとんどありえない加工はしない方針で写真を掲載しています。

 高校時代に写真部にもいたことのある私は、子どもたちの写真は、自分でフイルムを現像し引き伸ばして焼き付けたりしていました。あのたくさんの器具は、奈良から京都への転居の折に、そのすべてを処分しました。
 光と戯れて写真を焼く楽しさは、格別のものがありました。デジカメのない時代に、撮影したその晩に、家族に写真を見せたものです。薬品の調合や、時間を計ったりと、薄暗い中でさまざまな陰影を楽しみました。

 今日の三好さんの話では、今回の写真はすべてのパネルを、ご自分の家のプリンタで印刷したそうです。垂れ幕の写真は、出力できる店に持って行って、それも自分で印刷したものだということでした。

 その垂れ幕の写真の説明の時でした。「御輿寄前庭 真の飛石」と「御腰掛前延段」の前で庭石の話しながら、アレッと仰り、前に置いてある解説パネルが、隣のものと逆に置かれているとのことでした。係の人が、大慌てでパネルを置き換える、という一幕もありました。展覧会初日ならではのハプニングです。

 聞き終わっての印象は、宮内庁京都事務所の許可を得て撮影することの苦労と根気の一語に尽きます。
 しかし、それが実現するところに、この三好さんの力があるのでしょう。

 ただし、写真自体については、その発色が私の好みとは違いました。
 京都の自然はこんな色ではありません。
 特に、今日の写真の赤は、貧相で下品な色に見えました。
 余所者が覗き込んだ京都の文化遺産、という印象が最後までつきまとう写真展でした。
 色がどぎつすぎます。そして、画面がシャープ過ぎます。
 別室の暗室の中で見た数枚の写真が、私には安心して見られました。

 三好さんは、世界の楽園を撮影しておられるようです。
 紫禁城や故宮博物院での撮影の苦労話も聞きました。しかし、何やら勉強不足で、歴史的建造物への浅薄な興味本位の視点での取り組みのように思われました。
 実際には、真摯に写真と取り組んでおられると思います。しかし、今日の話しぶりでは、そんな印象が私には残りました。ただ一度の機会からの印象批評なので、失礼の段はご寛恕の程を。

 この展覧会は、次のような日程で見ることができます。
 *「桂離宮」和光並木館5階/2010年1月7日〜23日
 *「京都御所・仙洞御所・修学院離宮」和光本館6階/2010年1月14日〜30日
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | ・銀座探訪
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