2009年12月21日

名古屋で『源氏物語』の研究会

 週末の19日と20日は、名古屋の中京大学で『源氏物語』に関する研究会がありました。
 國學院大學の豊島秀範先生が主宰なさっている会で、第3年目の今回は第15回を数えるほどに、地道に研究成果を挙げている科研の研究会です。
 
 
 
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 今回は、こんなプログラムでした。


第14回 「源氏物語の本文資料に関する共同研究会」
 
日時︰12月19日(土)13:00〜
場所︰中京大学 名古屋キャンパス 5号館 572教室
内容
開会の辞         豊島秀範(國學院大學)
第1部 招待講演(13:00〜)  司会 伊藤鉄也(国文学研究資料館)
 岡嶌偉久子氏(天理大学附属天理図書館)
    「尾州家河内本源氏物語の書誌学的考察」
第2部 研究・報告1(15:20〜)       司会 菅原郁子
「河内本の翻刻・刊行とデータ処理の方法」
                     豊島秀範(國學院大學)
「河内本の翻刻と利用」         遠藤和夫(國學院大學)
「大島本「源氏物語」テキストデータベース化について」
                     渋谷栄一(高千穂大学)
「早蕨巻の本文と表現」         中村一夫(国士舘大学)
第3部 研究・報告2 (16:50〜)      司会 神田久義
「池田本手習巻とその本文」    大内英範(国文学研究資料館)
「河内方の二系統」       田坂憲二(群馬県立女子大学)
「大島本に関する報告」       伊藤鉄也(国文学研究資料館)
閉会の辞                 原 國人(中京大学)

 
 
 私は、次のような資料を配付し、「大島本に関する報告 −「初音」巻における傍記異文注記の本行本文への混入−」と題する発表をしました。

 その内容は、以下の通りです。

(1)『源氏物語』の本文は2種類に分別できること
(2)異文は、傍記が本行に混入することによって生じたものが多い。
(3)大島本は、傍記が混入している本文を伝えている。


◇資料(1) 『校異源氏物語』(昭和十七年、中央公論社)の「凡例」(『源氏物語大成』も同じ)
 一 本巻ノ大島本(飛鳥井雅康筆)ハ青表紙本デナク別本デアカラ、之ヲ底本トセズ、池田本ヲ底本トシタ。
  (中略)
 一 別本ノ大島本、七七三頁六行なむ一本おもふ(○○○○○)たのむとトアリ、七七五頁九行よはなれ一本かうさしのいともよはなれ(○○○○○○○○○○○○○○)たる
   トアル箇所ノ一本おもふ(○○○○○)及ビ一本かうさしのいともよはなれ(○○○○○○○○○○○○○○)ハ、大島本ノ書本ノ行間ニ存シタ書入ヲ、ソノ書写ニ当ツテ
   本行ニ混入シタモノト考ヘラレルガ、ココデハスベテ原本ノママトシタ。
   (注・校異には簡略を旨とする別本欄ということもあり、ミセケチやナゾリに関する記載はない。)
◇資料(2)
 参照資料 カラー図版(十三オ・十五ウ)
○該当箇所の翻字
 A 十三オ 「一本おもふたのむと」
   3行目 「一本」(ミセケチ〈朱〉、抹消〈墨〉)
       「ふ」(右下に「と」(朱・補入記号あり))
       「たのむと」(ミセケチ〈朱墨〉)
  【『日本古典文学全集 三』(小学館)】 底本・陽明文庫蔵後柏原院等筆写本
   ……あらじやはとなむ思ふ」とのたまふ。(一五〇頁)
  【『新編日本古典文学全集 3』(小学館)】 底本・天理大学付属天理図書館蔵池田本
   ……あらじやはとなん思ふ」とのたまふ。(一五七頁)
  『源氏物語別本集成 第六巻』231259-000
   ◆大島本 あらしやはとなむ一本おもふたのむとのたまふ
   ◆陽明本 あらしやはとの給
   ◆保坂本 あらしやはとなんたのんとのたまふ
   ◆東大本 あらしはやとなむたのむとの給ふ/は$、や+は、たのむ$おもふ
 B 十五ウ 「一本かうさしのいともよはなれ」
   6行目 「一本かうさしのいともよはなれ」(ミセケチ〈朱〉)
  【『日本古典文学全集 三』(小学館)】
   ……高巾子の世離れたるさま、(一五三頁)
  【『新編日本古典文学全集 3』(小学館)】
   ……高巾子の世離れたるさま、(一五九頁)
  『源氏物語別本集成 第六巻』231521-000
   ◆大島本  かうこむしのよはなれ一本かうさしのいともよはなれたる
   ◆陽明本  かうこしのよはなれたる
   ◆穂久邇本 かゝらむこの世はなれたる
   ◆前田本  かうこしの世はなれたる/こ$さ、の=いともイ、傍いともイ$

 
 
 わかりやすかったとの反応があったので、近いうちにまとめたいと思います。


 2日目は会議室で、今後の研究会のあり方と、平成22年度の活動について、具体的な話し合いをしました。

 その後、熱田神宮へ参拝しに行きました。
 
 
 
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 さらには、名古屋大学の先生のご自宅にお邪魔して、貴重な古典籍や屏風などを拝見しました。
 逸品揃いを堪能しました。

 2日目も、ハードな研究会となりました。しかし、充足感のある疲れなので、非常に気持ちのいいものです。

 さて、また明日から、書類作成と連絡に追われる、仕事仕事の日々となります。
 年末まで、ひた走りに走るしかありません。
posted by genjiito at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎源氏物語
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