2009年11月07日

江戸漫歩(16)都美術館の冷泉家展

 東京都美術館で「冷泉家 王朝の和歌守展」を観ました。
 
 
 
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 事前に『芸術新潮』(11月号)を読んで行ったので、展示の意図がよくわかりました。最近は、展覧会に行っても、眼は学芸員になっています。

 『古来風躰抄』は、著者である藤原俊成の自筆とのことです。ガラス越しでしたが、巻頭の1頁をじっくりと読んでみました。「わ」か「や」のように見えるひらがなは、「り」なのです。この癖がわかれば、あとは楽でした。

 『明月記』も圧巻でした。定家も毎日何らかのメモを、60年にもわたって記していたようです。
 私が毎日記すブログもこれに近いのだと思うと、この『明月記』が身近に感じられます。

 今回の展覧会で、私が一番時間をかけて観たのは、一番最後のコーナーにあった「写本の製作と修理」です。
 写本を製作するための道具としての罫線枠には、ジッと見入ってしまいました。
 木枠に糸が張ってあり、それをガイドラインとして文字を写していったようです。
 これとよく似たものは、昨年、国文学研究資料館で開催した源氏物語展で、宮内庁書陵部ご所蔵の「檜製糸罫」をお借りして展示しました。江戸時代のモノの複製でしたが、写本の製作現場がイメージできる道具でした。その時も、実際にその道具を使って書写した写本も同時に展示したので、なかなか好評でした。
 今回の冷泉家のモノも、同じ機能の書写用の小道具です。
 
 書写しながら、物語の本文を書き換えていったかのように言う人がいます。しかし、きれいに写そうとする気持ちと、書き換えることによって親本とずれていく目の前の紙面に、筆記者は戸惑うだけです。
 みんなが、こうした道具を使わなかったにしても、書写の現場についてはもっといろいろな場合を考えたいものです。その意味でも、こうしたモノは想像力を搔き立ててくれます。
posted by genjiito at 23:46| Comment(0) | TrackBack(0) | ・江戸漫歩
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