2009年09月23日

ケンブリッジでの国際研究集会

 国際研究集会は、今西祐一郎館長と伊井春樹前館長のすばらしい講演をはじめとして、充実した研究成果の発表がありました。
 この日の内容については、後日印刷物として公開する予定です。

 ここでは、その一端を紹介しましょう。
 ただし、私は一日中司会進行役だったために、写真を丁寧に撮る暇がありませんでした。少しでも会場の雰囲気をお伝えしたいのですがご勘弁を。
 
 
 
090921seminer1受付
 
 
 
 午前中の研究発表は、インド的な視点から見た『源氏物語』についての興味深いテーマを扱った荒木浩先生と、在英21年で平和学がご専門の中村久司先生の和泉式部の和歌の英訳についての問題提起がなされました。

 中村先生は、2005年に「日英短歌ソサエティー」を創立なさいました。現在、会員は21カ国に約200名だそうです。
 また、2008年には、日英交流への貢献で外務大臣表彰を受賞しておられます。中村先生のことは日本ではまったく知られていませんが、和歌を通してすばらしい研究成果を問うておられます。私とは、娘の英国留学を契機に、7年越しのおつきあいです。

 お昼休みに、ケンブリッジ大学図書館の日本部長をしておられる小山騰さんが、書庫内の日本関係の貴重な本を見せてくださいました。
 特に葵文庫には、貴重な資料がたくさん眠っています。後日、チームを組んで調査に来たいと思います。

 午後は、日英の若者2人が元気のある研究発表をしてくれました。
 レベッカさんは、ケンブリッジ大学博士後期課程で、日本文学の翻訳について博士論文の執筆中です。この日は、末松謙澄の源氏訳の背景についての、おもしろい発表でした。
 國學院大學の博士後期課程の神田久義君は、源氏と寝覚についての新鮮な見解が提示されました。これは、英訳にまで及ぶ、収穫の多いものとなりました。
 
 最後のラウンドテーブルでは、イギリスにおける日本文学研究について、これまでの歩みと現状について、コーニツキ先生と中村先生にお話をしていただきました。とにかく衝撃的だったのは、現在のイギリスには日本文学研究者が激減していて、若者もほとんど育っていないということでした。
 イギリス全体では、日本文学を勉強しようとする学生は150人ほどで、そのうち20人くらいがケンブリッジ大学に来るよそうです。大学院に入っても続ける学生が極端に少なくなることを思うと、確かにこれからのイギリスの日本文学研究に不安を覚えます。

 その意味では、今回の研究集会で発表してくれたレベッカさんは、大きく羽ばたいてほしい人材です。日本文学の翻訳について研究を進めているので、同じ問題に関心を持つ私も、一緒に勉強していきたいと思いました。末松謙澄がイギリスで『源氏物語』を英訳したことに関して、大変盛り上がった討議ができました。
 今後とも日英の研究者で、文学という垣根を取り払った共同研究をしていく必要性について、お互いに確認しあいました。
posted by genjiito at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎国際交流
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