2009年09月16日

成田離陸までの予期せぬ事態

 予め調べておいた時間に、東京の宿舎を出ました。快調に英国行きのスタートです。
 通勤時に使う地下鉄東西線で成田へ向かうため、キャリーバッグをゴロゴロと牽いての出発です。

 いつものように、ビルのエレベーターを使って地下の駅に降りようとしたところ、あいにく早朝のためにシャッターが降りていて、エレベーターが使えません。仕方がないので、重い荷物を持って、曲がりくねった長い階段を一歩ずつ下りました。腕立て伏せと懸垂の要領で、腹筋と背筋を使って荷物のバランスをとりながら階段を下ります。

 いつものホームに降り立って、ハタと気づきました。今日は、通勤とは逆の、成田方面へ行くのでした。
 やれやれ、と思いながら反対側のホームへ移動です。重い荷物を引きずりながら、階段をエッサエッサと上り下りしました。

 予定の電車は、すぐに来ました。危ないところでした。
 通勤時間帯なので、混雑しています。バッグを床に置く位置を微妙にずらしながら、みなさんの迷惑にならないようにしていました。
 しばらくして、ハッと心臓が一時停止です。乗換駅を乗り過ごしていることに気づいたのです。
 早朝の出発のため、いつも海外出張で成田へ行く時と、乗り継ぎ方法が違っていることに気が回っていませんでした。路線情報を印刷したものを見ながら、すぐに降りて引き返すべきか、少し遅れてでもこのまま行くべきか、しばし思案です。そして、ロスタイムがますます加算されることを避けるためにも、このまま行くことにしました。
 目指す方向は間違ってはいません。多少の遅れは、織り込み済みの出発なのですから。

 乗った電車の終点である西船橋駅で、京成線に乗り換える方法もあります。しかし、使ったことのない線よりも、いつも成田へ行くときの経路で行くことにしました。
 乗り換えの西船橋駅では、反対側のホームに渡ることになります。通勤ラッシュの中を、重い荷物を持ってエスカレータの階段を歩いて急ぎます。人混みの中を、やっとの思いでホームに降り立つと、ここから先へ行く東葉高速線はすぐに来ました。ラッキーとばかりに飛び乗ったところ、車内放送によると、これは快速ではなくて各駅停車でした。しまった、と思ったのですが、下手に次の快速に乗り換えるために降りずに、そのまま終点の東葉勝田台駅まで行くことにしました。

 結果的には、予定通りの時間に、東葉勝田台駅に着きました。
 予め路線検索が示してくれた経路は、どうやら西船橋駅で陸橋を渡らなくてもいいものだったようです。途中駅のホームで次の電車を待てば、そのまま東葉勝田台駅へ行けるように配慮したものだったようです。
 乗り換えに階段を使ったりと、重い荷物を持っての移動では大変な思いをしたことになります。しかし、それだけのことで、時間的なロスはなかったことになります。結果オーライということにします。

 東葉勝田台駅から京成線の空港第2ビル駅までは、これまた通勤時のラッシュに巻き込まれました。しかし、何とか乗り換え3分間の早業をこなしました。一旦、改札を出て、改めて京成の切符を買うのです。それにしても、スムーズに乗り換えができました。

 最後の乗り継ぎとなる列車に乗り込んで、やっとホッとした時でした。出入り口のドア付近に立っていた私の背中で、蛇口から水が流れ出るような音がしました。まさか電車で水漏れ?、とは思ったのですが、あまりキョロキョロできない混み具合なので、しばらくジッとしていました。
 背後で聞こえるのは、お小水をする時の音に似ていました。少ししてから、何だろうと思って振り返ると、後ろにいた女性が車酔いなのか、ビニール袋を口に当てて嘔吐しているのです。
 すぐそばに座っていたおじさんが、その様子に素早く気づいたようで、座席を女性に譲ってあげておられました。
 女性には同伴の若い男性があり、いろいろと小まめに介抱しておられました。
 満員電車の車中でのできごとです。女性はずっと俯きながら、苦しそうでした。何よりも、心中は情けなさに複雑な思いだったのではないでしょうか。彼のために、そして廻りの乗客の視線を感じて……。
 大きなスーツケースを横に置く2人は、共に若かったので、あるいは新婚旅行では、と思われます。

 そういえば、私も新婚旅行でこんなことがありました。
 もう35年も前のことですが……。
 私が結婚したのは、まだ学生の身分の時でした。お金もなく、東京タワーの下で20人ほどの家族親族に集まってもらっての、ウエディングケーキも、お色直しもない、質素な結婚式をあげました。
 新婚旅行は海外でした。と言っても、伊豆の大島なので都内ですが……。
 新婚旅行中に、妻は酷い船酔いをしました。そのために、お互いに苦しい船旅となりました。
 今日の車中のできごとを目にして、あの自分たちのことを思い出しました。
 今日のお2人ともが、つらい旅立ちとなっただろうと思うと、同情を禁じ得ません。

 それはさておき、結果的には、予定通りの時間に成田空港に着きました。
 最近は、電子チケットなので、チェックインも楽なものです。

 しかし、障害物競走のような人生は、まだ待ち構えていました。
 手荷物検査で、ゲートを通過するときに、何度もブザーが鳴ります。
 ベルトを外してもダメです。ポケットに入っていた財布や手帳やハンカチなど、すべてを取り出してもダメです。
 小さな台の上に立たされ、大きなルーペ状の金属感知器で体中を執拗に撫でられました。前から、後ろから、そして股や腋の下も。
 手でも、体中を触られました。靴も、手で押さえながら、丹念に調べられました。
 挙げ句の果てに、お腹周りの触診です。お臍や骨盤の辺りを強く押されました。何か飲み込んでいるのでは、と思われたようです。

 結局、無罪放免となりました。
 あの執拗さは、一体、何だったのでしょうか。不可解なできごとでした。
 私の体内には、胃や十二指腸などの臓器を切除した後の処置として、ホッチキスの針が数十本埋め込まれています。レントゲンで見ると、本当にあの両端が丸まったホッチキスの針の形が視認できます。もっとも、ステンレスだそうで、錆びることはないのでしょうが。
 とはいえ、これまでの数多い渡航歴の中で、この針が原因でこのような厳しい金属検査を受けたことはありません。
 謎です。

 そして今、機中でこの文を書いています。
 いろいろとハラハラドキドキの場面がありましたが、とにかく順調にロンドンを目指して飛んでいます。
posted by genjiito at 21:18| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎国際交流
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