それにしても、現実感に乏しい小説です。
なぜか、頭から紡ぎ出された、原稿用紙というか、パソコンに打ち付けられた作品のように思えます。
作者の思索の中を、一緒に彷徨えばよかったと思われます。しかし、実際に私には、そのような付き合い方ができませんでした。
久しぶりに、芥川賞(第141回、平成21年度上半期)を受賞した作品を読みました。しかし、あまり親しみの持てる作品ではありませんでした。
自分が、明るい展開と展望を作品に求めていたからでしょうか。自分の求める文学のありようが、改めて自覚されました。
その意味でも、本作品は、私向きではなかった、ということになります。
ただし、文章力のある作家として成長する兆しが感じられる作品になっていました。
この作品に関しては、「時間」というものが問題とされています。しかし、私には、それは大きな問題とはなりませんでした。【2】
『文藝春秋 8月号』(平成21年、新潮6月号 )収録
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