2009年06月10日

井上靖卒読(75)『蒼き狼』

 2007年3月に公開したものですが、サーバーがクラッシュして消失した記事です。
 メモが見つかったので、それを元にして再現しました。

 『蒼き狼』は、壮大なスケールの歴史ロマンです。読み終えたことに満足しています。

 最初は、『井上靖全集』で読み始めました。しかし、本が重すぎるので、読む場所が限られてしまいます。また、モンゴルを中心とした地図が見たかったこともあり、文庫本に変更しました。第一章を読み終えた時でした。

 全集本は、全作品を収めています。しかし、丁寧に読むためには、参考資料などがないので不便です。
 全集は、あくまでも作品自体と対峙するためのものである、ということが初めてわかりました。
 また、文庫本には注があるので安心です。ただし、ありま役立ちませんでしたが…。

 この話は、父と子が、自分の出生をめぐって苦悩する物語です。
 出生の秘密と言うと、『源氏物語』も同じテーマを持つものです。

 生きながら皮を剥がれた話が、4、5回出てきます。作者の拘りが気になりました。

 長城下の月光は、きれいでした。モンゴルという大平原なので、月は相応しくないと思われます。モンゴルというと、夕陽が似合うからです。しかし、長城下の月は、うまいと思いました。絵になっています。

 「帳幕」の読み方がわかりませんでした。文庫本にはルビがあってよかったのですが、これにはなかったのです。読者の立場からは、もう少しサービスを、と思うところです。【4】

 「蒼き狼は歴史小説か」という大岡昇平氏との論争は、機会を改めます。


初出誌︰文藝春秋
連載期間︰1959年10月号〜1960年7月号
連載回数︰10回


新潮文庫︰蒼き狼
旺文社文庫︰蒼き狼
井上靖小説全集16︰蒼き狼・風濤
井上靖全集12︰長篇5


〔参照書誌データ〕
 井上靖作品館
 http://www2.plala.or.jp/baribarikaniza/inoue/
posted by genjiito at 19:03| Comment(0) | TrackBack(0) | □井上卒読
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