読書感想文を「書かされる」ことには、異常に拒否反応がありました。そのため、文庫本などの最後に添えてある解説などを読んで、それらしい感想を混ぜながら、原稿用紙にだらだらと引き写していました。
井上靖卒読ということで、今回は目的がまずあったこともあり、とにかく読んでみるか、という形で読み始めました。
この小説には、教訓じみた、子供や若者の応援歌といったイメージを持っていました。しかし、それは前半だけで、しかも露骨ではなくてサラリとしていて安心しました。
学校教育の怖さです。先入観とは、恐ろしいものです。
私が高校の教員をしていたとき、読書感想文という課題を出さざるを得ないときは、少し視点をずらして、本の紹介文を書くように言いました。私に紹介する文章を要求したのです。これは、好評だったように思います。
このブログでは、「井上靖卒読」と題して駄文を連ねています。読書感想文にならないように、自分との接点を大事にすることを、いつも心がけてまとめています。
さて、鮎太が成人した後、特にバラックの喫茶店をめぐる話は、印象に残っています。
ただし、いつもながらのことですが、人間関係や人と人との別れが、何となく不自然だと思いました。冷めた作者の眼が、物語展開の楽しみを阻害しているのではないか、などと、よくわかりもしないながらも、今ひとつ納得できない出来に、不満を覚えました。
「寒月がかかれば」で、鮎太がいじめられた時、雪枝の言動と行動を、今の教育評論家は何と言うでしょうか。一度、何かの時にぶつけてみたいものです。
「春の狐火」を読み、その背景に『通夜の客』を想起しました。山村の雰囲気が、そう感じさせます。
「星の植民地」は、後の『星と祭』における観月旅行の原型だと言えます。
この作品を映画化したものを、学校で見せられたように思います。
映画は、私が4歳の時に制作されているので、小学校の低学年あたりで観たのでしょうか。
しかし、まったく何も思い出せません。
再度観れば、何かが刺激となって、作品に対する理解が広がるかも知れません。
今の段階では、まだ、どうして子どもたちに読ませる感想文用の小説とされているのかが、私にはわかりません。【3】
初出誌︰オール読物
連載期間︰1953年1月号〜6月号
新潮文庫︰あすなろ物語
旺文社文庫︰あすなろ物語 他一編
必読名作シリーズ︰あすなろ物語
井上靖小説全集6︰あすなろ物語・緑の仲間
井上靖全集9︰長篇2
映画化情報
映画の題名︰あすなろ物語
制作︰東宝
監督︰堀川弘道
封切年月︰1955年10月
主演俳優︰久保明、久我美子
〔参照書誌データ〕
井上靖作品館 http://www2.plala.or.jp/baribarikaniza/inoue/
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