2009年01月21日

井上靖卒読(56)『風と雲と砦』

 運を信条とする、山名鬼頭太が印象的な物語でした。
 安良里という女が、話を推し進めます。
 鬼頭太の幼友達の左近八郎が、その対局で語られます。
 なかなか姿を見せないみゆきが、伏流して話をおもしろくします。
 ここに、俵三蔵がからんできます。
 月が3人目の女にスポットライトを当てます。この3人目のひめが、みゆきの腕を抓るシーンがいいと思います。女の嫉妬がよく表現できているからです。
 こうして、男3人と女3人の物語が展開します。

 井上の戦国ものは、よく出来た作品がたくさんあります。これも、その一つです。
 風景の中で、登場人物が躍動しています。人の心のありようが、動きが、活写されています。
 物語の背景は、今から数百年前です。しかし、ちょうど目の前で展開しているような錯覚に陥りました。とにかく、安心して読み進められます。
 登場人物の輪郭が明確で、そして生き生きとしているので、読後もさわやかさが残ります。【4】


初出紙︰読売新聞、夕刊
連載期間︰1952年11月25日?1953年4月24日
連載回数︰150回

角川文庫︰風と雲と砦
井上靖小説全集14︰淀どの日記・風と雲と砦


映画化情報
映画の題名︰風と雲と砦
制作︰大映
監督︰森一生
封切年月︰1961年2月
主演俳優︰勝新太郎、水谷良重

〔参照書誌データ〕
 井上靖作品館
 http://www2.plala.or.jp/baribarikaniza/inoue/
posted by genjiito at 23:13| Comment(0) | TrackBack(0) | □井上卒読
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