書名は、『谷崎源氏逍遥(一)』。
フロッピーディスクのプラスチックケースに入っていて、縦横9センチほどの大きさで77頁の本です。
これは、本好きな仲間が刊行したもので、『源氏物語』と谷崎に対する思いが詰まっています。
谷崎潤一郎の源氏訳に関する内容ですが、書誌的な情報が中心なので、読み物ではありません。しかし、大事な情報がギッシリと入っています。頁を繰る内に、書籍としての谷崎源氏が目の前に立ち現れて来ます。
谷崎の旧訳源氏の付録(月報)に、興味深い記事のあることが紹介されています。
その第11号と13号から、池田亀鑑の『校異源氏物語』は昭和15年の時点では索引が計画されていた、ということがわかるというのです。
実際には、さらに15年の時日を経た『源氏物語大成』で実現します。しかし、こうした裏面史は、心を躍らせてくれます。1つの大きな仕事の背景にある「諸般の事情」というものに、さまざまな人の思惑や動きが見えてきます。想像を逞しくさせてくれます。
この本は、すべてが手作りです。
奥付はこうなっています。
ただし、これは「個人配布はない」という限定版なのです。
限られた人にしか手にできないのは、あまりにももったいないので、著者である田坂さんとの話の中から、国文学研究資料館に献本してもらえることになりました。
これで、みなさんにこの本を見てもらえます。
今しばらく、お待ちください。
なお、この胡蝶掌本のことは、次のブログに記事があります。
田中栞日記
昨秋、ハーバード大学での国際集会でも、本が大好きだという方の本に関する研究発表がありました。それも、懲りに凝った本の数々を会場に回覧しながら。たくさんの心温まる装丁の本を手にして、贅沢な思いに浸ることができました。
本は、永遠に人の心を捉える魅力がありますね。
ここで紹介した『谷崎源氏逍遥(一)』も、昨年の源氏千年紀の収穫の一つと言えるでしょう。
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