続いて、2人の女と2人の男がお互いの愛情を探りあう話に変わります。
義理の姉妹の心の揺れ動きが、読んでいて心地よい上品さで語られていきます。
素直な姉とわがままな妹に翻弄される男の様子が、生き生きとした描写の元に展開していきます。
登場人物たちは、人間関係において、非常に無防備のように思われます。2人一緒に食事をしたり、お酒を飲んだり、果ては旅行に行ったりします。誤解を招くことは必定です。善人たちが織りなすドラマだからというのではなくて、そんな悠長な時代だったからではありません。作者の創作上の用意と心配りが、少し甘いのではないかと思いました。
最後の場面で出てくるヒスイのイヤリングが、とても印象的です。本作品の題名がここから来ていることがわかります。
そして、最後に、この作品のヒロインが靡沙子であったことに思い至りました。てっきり、姉の耿子だとばかり思って読み進んでいました。靡沙子は、話の流れを掻き乱す役割を負っています。しかし、非常に魅力的な女性としても描かれています。こういう女性を、小悪魔というのでしょうか。【3】
初出誌︰主婦と生活
連載期間︰1957年10月号〜1958年11月号
連載回数︰14回
文春文庫︰揺れる耳飾り
映画の題名︰慕情の人
制作︰東宝
監督︰丸山誠治
封切年月︰1961年2月
主演俳優︰原節子、三橋達也
〔参照書誌データ〕
井上靖作品館
http://www2.plala.or.jp/baribarikaniza/inoue/
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