2008年11月20日

ハーバード(3)明け方の電話とメール

 いつもお世話になっている室伏信助先生にお願いして実施した、連続講演「千年紀の源氏物語」の全5回が、ハーバードに来る前日に無事に終了しました。

 自分のメモも兼ねて、少し記します。
 以下の日程で、以下のタイトルで行ったものです。

第1回 9月30日
  「幻想から理想へ ―源氏物語大島本の本姿―」
第2回 10月14日
  「「人なくてつれづれなれば」 ―一本を見つめるということ―」
第3回 10月28日
  「竹取物語からうつほ物語へ ―源氏物語の承けたもの〈その一〉―」
第4回 11月11日
  「伊勢物語と在五が物語 ―源氏物語の承けたもの〈その二〉―」
第5回 11月18日
  「紫式部日記という物語」

 優しい語り口で、毎回聴衆を惹きつけてのご講演でした。
 私は、最初と最後にマイクを持つだけでよかったので、後ろでジッと聴くことができました。

 岩波書店の『新大系 源氏物語』の校訂本文をお作りになった経験を踏まえて、貴重なお話を伺いました。第2回目までが、そうした『源氏物語』の本文に関するお話でした。

 続く第4回までは、平安時代の物語としての『竹取物語』『宇津保物語』『伊勢物語』についてです。
 先生は、角川文庫で『竹取物語』をお出しになっていますが、とにかく一番お好きな作品なので、脱線がおもしろい講演でした。たくさんの本を回して見せてくださいました。

 最終回は、『紫式部日記』と『源氏物語』についてのお話でした。
 これまた、興味深いコメントを交えての、30分も超過してのご講演でした。
 紫式部の日記は、実は物語なのだと。

 この最終回では、まず、室伏先生に直衣を着ていただき、そしてお話を伺うという趣向で行いました。
 直衣の着装実演は、國學院大學の大学院生の畠山大二郎君です。

 一昨年の最終回は、神野藤昭夫先生に狩衣でご講演をしていただきました。
 その時の写真が、先頃刊行された『知られざる王朝物語の発見 物語山脈を眺望する』(神野藤昭夫、平成20年9月、笠間書院)の裏表紙カバーの見返しに、著者紹介を兼ねて掲載されています。
 この写真は必見です。
 そして、この本は、脚注がじつにユニークな本です。
 本文はもとより、この下の注記をぜひご覧になってください。
 神野藤昭夫先生のお人柄がにじみ出ている、出色の出来栄えです。
 変な紹介ですみません。
 もちろん、上段の本来のお話とその構成も、贅沢なまでに盛り付けられたすばらしい本です。

 室伏先生の今回のご講演も、この笠間書院のシリーズの1冊として、来年以降に刊行されます。
 詳細は、そのご本をごらんください。

 室伏先生のご講演が終わってから、ご一緒に立川でお食事をしました。
 これまでにも、立川にある例の皿が回転しない謎の回転寿司屋へお連れしたりと、いろいろな機会に直接お教えを受けています。
 この日も、数時間後に成田からアメリカへ飛び立つことをすっかり忘れて、自然食屋さんで楽しく話をしてしまいました。

 ちょうど同じ日に、トルコでお世話になったH氏が私を訪ねて来てくれていました。
 トルコからサウジアラビアへと赴任地を変え、それを終えて先月日本へ引き揚げて来たばかりの彼も、講演会の後ろの席で興味深く聞いていました。

 連続講演終了後の食事には、彼も参加し、海外のおもしろい体験談を聞くことができました。
 室伏先生の思い出話、トルコとサウジアラビアというイスラム圏の話、そして直衣を始めとする衣装の話と、実に多彩な話題で盛り上がりました。

 夜中に宿舎へ帰り、大急ぎで海外出張用のボストンバッグに荷物を詰め、少し寝て、そして成田へと移動し、今このハーバードにいるのです。

 今回もたくさんの仕事の中を出かけているので、今は朝の4時ですが、日本がちょうど夕方のため、いろいろな方と電話とメールで連絡をとっています。
 ここでも、iPhoneが大活躍です。

 成田からシカゴに着くと腕時計の時間を前日に戻し、ボストンに着いてさらに時間を戻しました。
 もう、自分の時計の時間がどうなっているのか、よくわかりません。
 空港の時計に合わせて、腕時計の長針をクルクル回しているだけです。
 iPhoneの時間は、日本のままです。
 
 昨日着き、今日は打ち合わせ、明後日までの2日間が国際研究集会、そしてすぐに日本にトンボ帰りです。
 このハーバードの街から出る暇すらありません。残念です。
 せめて、ボストン美術館だけでも行きたいのですが、とにかく時間がないので諦めます。

 そういえば、9月に行ったベネチアでも、4日間の内の2日間は源氏展の仕事で徹夜でした。毎晩、メールと電話で展示のための仕事をしていました。
 今回もその悪夢が……。
 先程から、電話とメールで、いろいろな方と打ち合わせをしています。
 時差ボケを口実に、身体を騙しダマシの生活です。

 朝日新聞をPDFにして送ってくださったK先生からも、身体をイタワレとのご指導が書き添えられていました。
 その先生も、連日の過酷なスケジュールをこなしておられます。
 同病相哀れむ、ということばが今とっさに思いつきました。
 ありがたいことです。
 大先輩からの温かい忠告を心に刻み、これから朝食まで少し寝ることにします。
posted by genjiito at 18:27| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎国際交流
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