2008年07月08日

京洛逍遥(42)仁和寺と陽明文庫

 明け方に雷雨がありました。
 今日は朝から1日中かけて、陽明文庫で古写本の調査と撮影に立ち会う日です。
 どの経路で行こうかしばし思案しました。バスで北野白梅町まで行き、そこから嵐電北野線で宇多野へ出、そして徒歩というコースが一番無難です。
 次に、バスで仁和寺まで行き、そこから徒歩というのもあります。
 しかし私は、雨がもう降らないということを確信して、自転車で行くという選択をしました。確かに、これが一番早く行けます。といっても、40分はかかりそうですが。
 少し早めに自宅をスタートし、大徳寺、金閣寺、龍安寺と快適に通過して時計を見ると、予想外にハイペースでした。そこで、仁和寺を散策することで、約束の10時までの時間調整をすることにしました。

 平成6年に仁和寺は、ユネスコの「世界遺産」の一つに登録されました。平泉の中尊寺が昨日落選しただけに、遺産の評価の難しさを知ったばかりです。
 京都は、重厚な歴史と文化の中で発展しているだけに、こうした文化遺産には恵まれています。

 仁和寺は、平安時代の中期から鎌倉時代にかけて、皇室と貴族のお陰で栄えました。しかし、応仁の乱で灰燼に帰したのです。それでもその100年後、3代将軍家光の時代に再興されたのです。
 国宝の金堂は、京都御所の紫宸殿を移築したものです。


Tf8avnjv_s仁和寺



 金色に輝く金具に、気品を感じます。朝早のせいもあってか、気持ちよく境内を散策しました。
 御室は桜の名所です。しかし、紅葉も多く、早々と色づいた葉を見つけました。


Srrmdphk_s色づいた紅葉



 たまたま来ていた修学旅行の6人の生徒さんたちは、躾がいいのか行儀よくお早うございます、とか、こんにちは、と元気よく挨拶をしてくれました。ただ通り過ぎようとした私は、慌てて答礼をしました。挨拶のできる子どもたちは、貴重な国の財産です。

 東屋で缶コーヒーを飲み、源氏展の出品目録と写真撮影の資料に目を通しているうちに、約束の時間が近づいたので仁和寺を後にしました。ここから陽明文庫までは5分ほどです。

 今日は、最初から虎山荘での仕事でした。
 前回は、1人静かに写本と対座しました。


http://blog.kansai.com/genjiito/73


 しかし、今日は多くの方々と一緒です。

 写真撮影のために、光楽堂の方がお出ででした。お昼前には、過日、鞍馬寺の与謝野晶子の『新訳源氏物語』の写真撮影でご一緒した社長も顔を出されました。

 そして、今日の陽明文庫は、名和先生が教えておられる学生さんの博物館実習の場ともなっていました。
 3人の学生さんは京都女子大学の方で、5日間の実習を受けているとのことでした。私が受けた博物館実習は、もう35年も前のことですが、登呂遺跡で発掘調査などに参加したことです。そのことを思うと、こうして国宝や重要文化財を目の前にして、その資料の取り扱いや古典籍についての学習が実地にできるのですから、羨ましいかぎりです。
 学生さんも、非常に好感のもてる方々でした。歴史が専門とのことでしたが、更なる勉強とこうした分野での活躍が楽しみです。よく勉強しておられる片鱗を、撮影の合間の話の端々で感じました。

 名和先生は、国宝や重要文化財の撮影のために、汗だくでの奮闘でした。


Zoya2ruc_s図録写真撮影



 これまで見ていた図録の写真も、ものによってはこのように手をかけて撮影されていたのです。今回、その舞台裏を拝見する機会を得、いい勉強をすることとなりました。
 また、図録の写真の工夫についても、また、展示の方法についても、貴重なアドバイスを受けることができました。感謝感謝です。


 Ghvsvr71_s立体的に見せる



 ものをどう並べるかは、センスのいることです。柔軟な対処の中に、みんなにわかってもらえる写真が撮れるのです。
 とにかく、経験を積むことで、充実した展示のお手伝いができるようになりたいという思いを強くしました。

 国文学研究資料館の図録に掲載する写真も、私の我が儘を聴いていただき、丁寧に撮影していただきました。また、新資料も教えていただき、それを展示品に加え、図録にも掲載することにしました。
 やはり、現場に足を運ぶと、得るものが多いことを実感しました。

 つい撮影に熱中していたために、気がつくと夜の7時半を過ぎていました。暗くなった道を名和先生に見送られ、自転車を漕いでの帰路につきました。

 天気予報は午後は崩れるとなっていましたが、どうやらまったくその気配のない夜の京の街を、軽快にペダルを踏みながら急ぎました。


posted by genjiito at 23:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎京洛逍遥
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