2008年05月12日

源氏千年(46)朝日「人脈記」13

 「千年の源氏物語」のシリーズも、今日で最終回です。
 第13回目のタイトルは、「たずねよう 日本語の花」(関東版)/「探り出す日本語の粋」(関西版)です。
 正直言って、このタイトルは共に、私にはあまりしっくりときません。どうしたんだろう、という想いで読み始めました。

 今日は、大野晋先生と丸谷才一氏の2人です。
 大野先生は、国語学者として知られています。そして、タミル語の研究に情熱を傾けておられます。
 今、私の手元に、タミル語訳の『源氏物語』があります。これを、大野先生はどう現代語に訳されるのでしょう。ヒンディー語等とともに、おそらくアーサー・ウェイリーの英訳をタミル語に翻訳したものと思われるので、訳そのものはそんなに難しくはないと思われます。
 現在、ヒンディー語訳『源氏物語』を日本語に訳し戻す作業を進めています。インドのネルー大学から来ている留学生K君を預かっているので、彼と日本の大学院生たちとともに、勉強会をやっているのです。彼もヒンディー語はわかっても、タミル語は皆目わからないと言います。このタミル語は、まだ私の周りに日本語訳できる人がいません。
 どなかた、紹介してくださいませんでしょうか。

 タミル語訳『源氏物語』から、日本の文学や文化をどう訳しているのかを探り、そこから大野先生の言われる日本語とタミル語の近さに迫ることも可能かもしれません。
 これからの人たちに期待しましょう。

 今回、大野先生にこのタミル語訳『源氏物語』を見てもらったら、おそらく話は止まらなかったのではないでしょうか。次のインタビューの機会がたのしみです。

 作家である丸谷氏は、昨年9月に、立川市で開催した国文学研究資料館のシンポジウムで『源氏物語』に関する講演をしてくださいました。非常に楽しい話を伺いました。

「源氏千年(1)講演会 in 立川」
http://blog.kansai.com/genjiito/67

 丸谷氏の『輝く日の宮』は私も読みましたが、あまり印象に残っていません。想像力を働かせるにしても何かと制約が多くて、大胆な展開とはならなかったことが惜しまれます。その構想の背景には、大野先生との対談があったようです。
 なかなか実証しにくいことを、小説という分野から切り込もうとされました。その意欲に敬意を表します。しかし、読み手が何をおもしろく思うかが、絞りきれなかったのではないでしょうか。さらなる挑戦を、続編という形でしていただきたいものです。

 4月21日に始まったこの「人脈記」は、今日までの22日間というもの、私は毎日、新聞が配達されるのを心待ちにして読みました。あっという間の13回の連載でした。

 これまでを少し振り返ってみましょう。
 このシリーズは人という接点がポイントです。
 そこで、年代と性別で整理してみました。
 いろいろな形で人名と年齢が記されているので、今は写真が掲載された方を対象にしました。
 男性は 22人、女性は 16人です。



   30代 40代 50代 60代 70代 80代 90代

男性  1   2   2   10   1   5   1

女性  0   6   3    0   3  4  0   


 ここで気づくことは、30〜40代に男性が少ないのに、60代は圧倒的に男性が多いことです。これは、現在の『源氏物語』の受容は、60代の男性が背負っている、という傾向を示しているのでしょう。それに対して、女性は40代の方々が中心となっているとも言えるでしょうか。

 最初の私の予想では、演劇や漫画や音楽がもっと取り上げられると思っていました。しかし、終わってみると、『源氏物語』にま正面から向かっている人々を対象としたストーリーになっていたように思われます。これは、筆者である白石明彦さんの1つの見識なのでしょう。紳士的なきれいなまとめ方、と言えます。
 写真を担当された八重樫信之さんも、人々の表情から、その人柄を引き出そうとしておられるのが感じられます。38人のさまざまな表情を、たっぷりと楽しませていただきました。
 取材にあたられた白石さんと八重樫さんの、お2人のお人柄が、文章と写真から伺えたようにも思えます。

 『源氏物語』という一作品だけで、これだけの情報が提供されたことは、まさに驚異というべきでしょう。それだけ、奥の深い作品だ、とも言えるのです。

 源氏千年という節目の年に、こんなにすばらしい企画をまとめあげられた白石さん、そしてそれをサポートされた八重樫さんに、改めて労いの気持ちと、お礼と感謝の言葉を贈りたいと思います。
 お疲れさまでした。そして、ありがとうございました。
 大いに楽しませていただきました。



posted by genjiito at 23:54| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎源氏物語
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/178852315
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック