2008年04月28日

鞍馬寺にある晶子の源氏訳自筆原稿

 洛北鞍馬の鞍馬寺に、与謝野晶子が『新新訳源氏物語』を著した時の自筆原稿があります。
 すべてではありませんが、「乙女」「玉鬘」「東屋」が大切に保管されています。

 なぜ鞍馬寺に晶子の自筆資料が、と思いますが、これは、鞍馬弘教を開宗した先代住職の信楽香雲氏が、与謝野門下の歌人であったことに起因します。
 お寺に隣接する霊宝殿(鞍馬山博物館)の2階には、与謝野鉄幹と晶子の遺品を展示した与謝野記念室があります。また、霊宝殿の前には、昭和5年に建てられた与謝野晶子の書斎「冬柏亭」(東京の荻窪にあったもの)が移築されています。
 これまた、与謝野の門下生であった岩野氏と信楽香雲氏の縁があってのことですが、詳細はまたいずれ記します。

 この晶子の自筆原稿を、今秋開催する国文学研究資料館の「源氏展」で展覧するために、事前の打ち合わせを先月来おこなっていました。そして、過日の打ち合わせの折に、原稿の文字が徐々に消えていっているのだが、という相談を受けました。
 ブルーブラックの万年筆で書かれているために、退色が進んでいるようです。
 早速その問題を持ち帰り、内部で相談したところ、とにかく光を当てることを最小限にする以外にはなく、デジタル撮影による資料収集をして、画像データベースとして公開することで、更なる被害を食い止める方向で了解がとれました。

 また、鞍馬寺からもデジタル保存による対処に理解と同意がいただけましたので、昨日、具体的な方針の説明と撮影等の打ち合わせをするために、鞍馬寺を訪問しました。

 ケーブルカーで上がってすぐに聳える多宝塔のまわりは、八重桜が満開でした。


Wq_0zvo0_s多宝塔と満開の八重桜



 京の町はもう桜は散っていますが、まだ鞍馬の山桜は咲いています。
 本殿金堂から寺務所を望むと、ここにも八重桜がみごとに満開でした。


Xuouss2o_s本殿金堂



 広報担当のS氏は非常に熱意と理解のある方で、今後の対処についてスムーズに打ち合わせることができました。
 展示資料としてお借りすることから始まり、さらにデジタル保存の実現へと、大切な資料が最良の方法で公開できるようになり、交渉担当者としてはホッとしています。
 この晶子の原稿については、神野藤昭夫先生のご教示と、先生の事前調査に負うところの大きいものでした。連係プレーが実を結んだ、ということになります。

 早速、さまざまな手配を施しますが、秋には与謝野晶子の『新新訳源氏物語』の自筆原稿がネットを通して確認してもらえるように、出来る限りのお手伝いをさせていただきます。

 この自筆原稿の紹介等は、国文学研究資料館の特別展である『源氏物語展』の展示図録(思文閣出版)で、神野藤昭夫先生にご執筆いただいていますので、詳細はしばらくお待ちください。




posted by genjiito at 08:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎源氏物語
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