2008年04月06日

源氏千年(21)女流講談を堪能

 連日、大丸京都店へ足を運んでいます。いろいろと楽しいイベントが組まれているからです。
 『源氏物語』が読まれて来た歴史に興味を持っている私は、今現在の受容についても情報を収集しています。

 今日は、現在大活躍中(という)女流講談師の神田紫氏が出番です。講談の世界はまったく知らない私には、神田氏がテレビやラジオでお馴染みと言われても、人ごとです。どんなものか、という好奇心だけで行ってみました。

 会場となっている大丸の1階案内所前の特設ステージは、こんな所でした。会場の担当者に写真撮影のことを聞くと、自由に撮って構わない、とのことでしたので、以下に掲載します。


Jwihfuft_s講談会場



 こじんまりとした所で、いささか拍子抜けがしました。30人も座れません。そして、デパートの1階入り口近くなので、落ち着かない中途半端な場所でした。
 客の人目を引くための催しであることはわかりますが、今回はじめて講談を目の前で聞いた者としては、もっと落ち着いて聞きたかったと思います。神田氏は、非常に熱のこもった身振り手振りの語り口で、想像以上に聞き惚れました。ひとえに、場所が貧弱だったことが惜しまれます。主催者側の、このイベントに対する意識の軽さに、大いに不満を抱いて帰りました。

 さて、当の講談は、このような劣悪な環境にもかかわらず、まさにプロの芸で熱演でした。30分間がアッという間でした。
 演題は「源氏物語・六条御息所」です。


Xfpt26go_s神田師



 神田氏は神戸市が出身で、現在は日本講談協会会長をなさっているとのことでした。声がきれいで歯切れがいいので、非常に聞きやすかったのです。テンポもいいし、ストーリーもいい構成でした。強いて気になったところをあげれば、「近衛大将」を「このえのたいしょう」と語られたところだけです。「たいしょう」では、寿司屋の大将という感じになります。ここは正しくは、「だいしょう」です。最近は、学校でも「たいしょう」と教えているようです。私は、学生時代に厳しく「だいしょう」と叩き込まれました。

 それはさておき、神田氏の講談です。
 私は前から2列目の真ん中で聞いていました。
 葵祭の時の車争いの場面で、神田氏は突然立ち上がり、葵の上側と六条御息所側とのやりとりを、それこそ凄まじいばかりの迫力で演じ分けられました。


Adokbwx5_s車争い



 すぐ前にいたので、その気迫が直接伝わってきました。これは、並々ならぬ芸の力です。
 なによりも、台詞を何も見ずに30分間。よどみなく、感情の起伏を巧みに織り交ぜて、完璧に語っておられたのです。台本はどなたが書かれたのかわかりません。『源氏物語』をよく読んでのものであることが、ことばの端々でわかります。たくさんの人名も、的確におっしゃっていました。まさしく、話芸です。小沢昭一を思い浮かべました。

 最後は、六条御息所の語りでした。その時、これまた驚いたことに、般若の面を捧げながら、鬼となった六条御息所の台詞が迫真の口調で語られました。


Xwrnct_i_s鬼の面



 『源氏物語』が講談でどうなるのか、興味を持って聞きました。それは、予想外の収穫でした。場面が六条御息所に関する、動きのある内容だったからでもあるのでしょう。しかし、この講談という語りのスタイルは、『源氏物語』を語るのに有効な道具となることを教えられました。それも、神田氏という女性の力が多大な効果をあげていると思われますが … 。

 機会があれば、また聞きたいと思っています。




posted by genjiito at 23:39| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎源氏物語
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