2008年04月05日

源氏千年(20)京菓子饗宴

 四条にある大丸京都店の「源氏物語千年紀特集」で、商品化されたさまざまな記念品が見られます。こんな時にしか作られない、見られないものがたくさんありそうなので、足を運んでみました。

 まずは、『源氏物語』にちなんだ和菓子から。
 これは、今回の企画限定の生菓子だということでした。まずは店頭で写真撮影の許可をとり、そしてこれらをすべて購入して帰りました。だいたい、1個300円から500円ほどです。
 ただし、私は糖尿病のカロリーコントロールしている身なので、私は自宅で写真撮影をするだけで、お菓子はすべて家族が食べました。
 趣味と実益を兼ねた取材です。

 最初は、京都鶴屋の「藤壷」です。


Pmvkf17f_s鶴屋・藤壷



 説明板には、「鮮やかな緑の蒸ようかんに、藤色のかるかんをのせて、かろやかに」とあります。あっさりとした味なのでしょう。藤壷の人柄などとは関係なく、色彩からのイメージで作られたもののようです。



 2つ目は、俵屋吉富の「源氏物語絵合」です。


Smgb1r1b_s俵屋・絵合



 右の細長い箱には、写真中央の丸い麩焼煎餅が9枚入っています。これには、源氏香図の「絵合」の焼き印が捺されています。
 中央の四角い箱には、男女の金太郎飴と鞠飴が入っています。顔は幾分歪んでいました。しかし、眺めているだけでも楽しい趣向です。
 左端の上の饅頭は「絵合」の香図の焼き印が捺されています。



 3つ目は、老松の「若紫」です。


O0fxpp2a_s老松・若紫



 短冊状のういろうの端が紫色で、上には金箔が載せられているのが雰囲気を醸し出しています。



 4つ目は、亀屋清永の「若紫」と「夢浮橋」です。


Ubqo_ys__s亀屋・若紫+夢浮橋



 白あんを白と紫のういろうで包み、それを着物に見立てたドラ焼きで覆っています。なかなかのアイデアですが、ドラ焼きが上品さを削いでいるように思いました。



 5つ目は、湖月の「御紫」です。これは、宣伝になかったものです。

Cm0ah1qm_s湖月・御紫



 もう少し工夫があれば、と思いました。



 6つ目は、笹屋伊織の「藤壺」「桜の宴」「かほり」です。


Ivhvo29w_s笹屋・藤壺+桜の宴



 左右の饅頭と干菓子は措いて、真ん中の「藤壷」は色合いが出色です。

 これらを持ち帰り、自宅で大皿に並べてみました。これは、一つずつ器にのせると映えるのですが、今はそのすべてを見るために、こんな盛り合わせにしました。


Jm6hy5pb_s盛り合わせ



 お菓子で文化を感じながら遊ぶのも、日本のすばらしさだと思います。ぜひ、こうした遊び心は忘れないで伝えていきたいものです。
 かつて、神戸風月堂が『源氏物語』をテーマとした和菓子を作成しました。それは、写真集となっています。また、虎屋も『源氏物語』をテーマとしたお菓子を作りました。
 いずれ、こうした資料を紹介しようと思います。
 たくさんのお店が、たくさんの職人さんが、こうした文化的遺産としての『源氏物語』というものを通して、創作の場で挑戦しつづけてもらいたいと思います。

 大丸側が作成した簡単なチラシには、湖月のお菓子は紹介されていませんでした。しかし、実際に会場を回ると、これも源氏物語の記念菓子でした。
 せっかく、このように各菓子職人が創意工夫で作ったものなので、もう少し情報を整理して流してもよかったのではないでしょうか。

 この6軒の内、お菓子の説明を書いたチラシを作っていたのは、俵屋吉富だけでした。それも、ファイリングされていたものを無理を言って頼んで、1枚だけ貰いました。こうしたものは、イベントを盛り上げ、その場限りのものとしないためにも必要だと思います。たとえば、それぞれのコンセプトやお菓子の素材・材料などを記したパンフレットは作るべきでしょう。
 2週間限定の催しとは言え、今後のためにも、資料は残したほうがいいと思います。

 また会場も、いつもの地階和菓子売り場ではなくて、別に特設したら、もっと競い合うイベントになったことでしょう。
 主催者側の『源氏物語』をめぐる文化の扱いについて、理解不足だったのが残念でした。
 源氏物語千年紀は、まだまだ続きます。秋にでも、企画を練り直して再度チャレンジしてほしいものです。

 以前、本ブログ「源氏千年(10)文化を食べる」(2008/2/22)で、高島屋の企画にこんなコメントを付けました。


 今回の企画全般に感じたことですが、有名とされるお店の底の浅さにがっかりです。
 こんなに日本の料亭は低レベルになってしまっていたのでしょうか。
 『源氏物語』という名前に乗っかっているだけです。どのように解釈した結果なのか、ということのヒントだけでも、見る者に示さないと、勝手な自己満足の世界に終わります。見た目のきれいさだけでは、正直言って、文化とは乖離していくだけです。
 安直にブームに乗って展示した、ということに留まるのでは、もったいないことです。見る者と共有するものがないのです。単に、私たちは、きれいに仕上げた料理を、見せてもらうだけです。そして、そこには作り手の『源氏物語』への理解の未熟さが露呈しています。
 私が、総じて作品のレベルが低くてがっかりしたのは、こうした点からのものです。



 今回の和菓子は、日本料理ほど酷くはなかっただけに、もう少し説明がほしいと思いました。企画に参加しただけというのではなくて、積極的にアピールする場にしてもらいたいものです。分厚い日本文化の下地はあるのですから。




posted by genjiito at 22:55| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎源氏物語
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