何と信号機が少ないことか … 。
いかに信号機というものが邪魔者か … 。
この解放感が、気持ちよく銀座をブラブラできる要因になっていると思います。
私は、マロニエ通り、ガス灯通り、松屋通り、並木通りを歩きます。
銀座通りや晴海通りや西銀座通り等の大通りへ出ない限りは、信号機に出くわすことはありません。信号待ちをさせられることなく、好き勝手に、思うがままに、快適に、キョロキョロしながら歩けるのです。
通りに入ってくる車も、心なしか遠慮がちです。
大通りに出て初めて、信号で立ち止まることの煩わしさに気付かされます。
何も考えずに歩けるのは、今の日本では地方の田舎道とこの銀座ではないでしょうか。
人が思いのままに歩き回りたいという習性を、信号機が無理やり押し留めているのです。知らず知らずのうちに、外を歩くとストレスを感じているようです。そのことに、銀座を歩くと、思いがけず気付かされます。
ことばにすると大げさですが、信号機は人の自由を束縛しています。信号で待つことの不自然さを、銀座を通り過ぎてから痛感することになります。
これからの街造りに、この信号機という人間に楯突くものをどう扱うかは、大きな問題となることでしょう。
赤信号で立ち止まる、青(緑)信号で渡る、という常識を、時として不思議に思わせる銀座は、これはこれとして興味深い街です。
海外の街では、まず信号は守られていません。
その最たるものはインドですが、エジプトでも、トルコでも、またロシアでも、もちろん中国でも、信号を守るということは何なのかを考えさせられる瞬間があります。
イギリスやフランスやイタリアも、程度の差こそあれ、それは同じです。
道路の横断は自己責任でするもの、という思想は、日本が一番希薄ではないでしょうか。つまり、皆で決めたルールは守る、という精神が、日本は最も遵守される国だと思います。これは、ものすごいことです。すばらしいのですが、時には再考してもいい時があるようです。
海外をいろいろと歩き回り、日本人と日本文化のすばらしさを痛感し、自分がこの国に生きていられることを誇りに思っています。しかし、そのハイレベルな社会での疑問点を、これからは見つめ直す段階にあると思います。幸せすぎる社会を作ったがための、自己点検の時代に突入していると考えるからです。
日本が格差社会になりつつあることもそうですが、そのさらに基底にある、みんなで守っているものへの再検討が必要だと思います。
電車で並ぶというモラルも、日本では確立されています。諸外国の人が、一番に驚くことです。その点では、関西はもっと人間的です。これは、関東よりも関西の方が文化レベルが格段に高いので、臨機応変というか、自分たちの物差しで生きているからだと思います。関東は、自分に自信がない人が多いし、地方からの移民で構成されている都会なので、集まった人たち相互に、いわゆる遠慮が働くのです。
東京にいる人たちを見ていて、私はそう思っています。だからこそ、この銀座のありようが、不思議でしかたがないのです。そして、そこに快適さがあるから、なおさらです。
古き良き日本の姿が、この銀座という都心に残っていた、ということでしょうか。
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