2008年03月03日

井上靖卒読(31)全集で割愛された作品群

 昨日の「井上靖卒読(30)『霧の道』」でふれたように、『井上靖全集』に収録されていない作品があります。てっきり私は、井上の著作物のすべてが『全集』に収まっている、と思い込んでいたのです。

 これまで本ブログで扱った作品では、以下のものが『全集』に収録されていませんでした。

「春の嵐」「花と波濤」「若き怒濤」「春の海図」「夢見る沼」「ある落日」「群舞」

 思い込みには、本当に気をつけなければなりません。

 それでは、なぜそうなっているのでしょうか。
 その理由を、『全集』の解説で確認しました。

 『井上靖全集 第八巻』の解題によると、次のように書かれています。

既発表の井上靖の長篇は計74篇に及ぶ。本全集では枚数、巻数の都合上、詩・短篇・エッセイは網羅するかわりに、長篇の一部は割愛せざるを得なかった。(679頁)

以上74篇のうち、本全集収録分は43篇で、最下欄に記された各巻に収められる。(680頁)


 「枚数、巻数の都合上」という理由なので、商業出版という制約によるもののようです。特に意味があってのものではないので、安心しました。
 つまり、この解説にあげられた一覧表の最下欄に数字がないものが、『全集』から割愛された「長篇の一部」だということになります。
 この一覧表から、『全集』に未収録の長篇小説を抜き出したのが、次のリストです。自分がまた勘違いをしないように、確認の意味からもまとめておきます。

 ※印を付けたものは、すでに本ブログで扱ったものです。


・霧の道,1951年
 ※春の嵐,1952年
・緑の仲間,1952年
・座席は一つあいている,1952年
・風と雲と砦,1952年
 ※花と波濤,1953年
 ※若き怒濤,1953年
・戦国城砦群,1953年
・オリーブ地帯,1954年
 ※春の海図,1954年
 ※夢見る沼,1955年
・白い風赤い雲,1956年
・こんどは俺の番だ,1956年
・白い炎,1956年
・地図にない島,1957年
・揺れる耳飾り,1957年
・朱い門,1958年
・波濤,1958年
 ※ある落日,1958年
・兵鼓,1959年
・月光,1959年
・河口,1959年
 ※群舞,1959年
・傾ける海,1959年
・遠い海,1963年
・盛装,1963年
・燭台,1964年
・紅花,1964年
・花壇,1975年
・異国の星,1983年

 1951(昭和26)年は、私が生まれた年です。
 井上靖の作品は、まさに私が生きた時代を背景に書かれたものであることを、改めて実感します。
 丹念に、くまなく、残りの人生の中で読み終えたいとの思いを強くしました。




posted by genjiito at 09:23| Comment(0) | TrackBack(0) | □井上卒読
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/178852229
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック