さらには、ストーリーも変化に乏しくて、描写も粗雑なものとなっています。井上靖は、もっと読ませる文章を書く人だったはずです。
ストーリーが穏やかなのは、いつものことです。人物設定も、3人の男女の関わりで進みます。いつものパターンなのですが、物語を作り過ぎたせいか、一人一人がガラスの人形のようです。
これは、書かれた時期が影響しているのでしょう。多作の中での1つとして見るべきものなのかもしれません。
軽く流れていった小説でした。
私が井上靖の作品の中で注目している「湖」と「月」は出ますが、とりたてて井上らしさはありません。
残念でした。【1】
初出誌:主婦の友
初出号数:1954年2月〜10月(9回)
角川文庫:春の海図
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