2007年10月02日

読書雑記(4)高梨耕一郎『京都半木の道 桜雲の殺意』

Fp5mkuv0_s半木の道


 自宅のそばの桜並木が出て来るというだけで、つい読んでしまいました。
 写真の半木の道がそうです。桜の名所として有名です。この小説も、桜にちなんでの殺人事件が展開します。

 今は秋。季節外れの桜の話も一興か、と思って読み進みました。もっと桜に関する蘊蓄を期待しました。大学の先生が中心となる話なので……。結果は大いに失望。
 本書は、昨春に刊行された、文庫本での書き下ろし作品です。

 あまりいい話が書けませんが、せっかくなので感想文を。
 おもしろがって読みましたが、実は京都という舞台が活かしきれていない印象が強く残りました。また、犯人も早々にわかってしまいました。

 話をややこしくしようとする手法が施されていても、そもそもの話が単純なので、読後の印象が薄くなります。また、登場人物の関西弁というか京都弁に品がありません。小さいひらがなをもっと使うなど、文字を視覚的にする工夫があったらよかったと思います。
 若い女性が電話で「久保やけど」もいただけません。

 大学の先生宛のメールを、研究助手が自由に読み、印刷し、転送しています。プライバシーなどあったものではありません。アドレスから発信者をたどる所も不自然です。

 助手が取材記者のために資料を大量にコピーして渡していました。これは教授の研究費からのものなのでしょうか。公費を無自覚に使うところなど、もっと丁寧に描いてほしいものです。また、某教授の発言は、セクハラやアカハラに該当するものです。細かなところが雑でした。

 タイトルにある「半木の道」は、物語の展開にはまったくといいほど必然性がない場所でした。Aと言う代わりに「半木」という固有名詞をあてただけです。
 ここは桜の名所として取り上げるだけではもったいない所です。
 作者は現地に足を向けたのでしょう。しかし、写真にあるように、飛び石で反対の河原に簡単に行けることには興味がなかったようです。

Dmqm5oyj_s飛び石


 橋を使わなくても、賀茂川の両岸をこうしてショートカットができるのです。物語の中で、この飛び石をうまく使うと、もっとおもしろくなったのに、と残念に思っています。

 こう書くと、まったくの駄作としか言えない小説です。
 ご当地小説は、その地域が舞台として出て来ることだけに興味があるものです。それに期待したのですが、それもイマイチでした。
 京都をブラブラした気分だけは、印象として残っています。

 書き下ろしの小説は、それが殺人事件に関するものは、その場限りの読み捨てと割り切ることにします。
posted by genjiito at 19:14| Comment(0) | TrackBack(0) | ■読書雑記
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