2007年07月10日

ド派手な「舞妓Haaaan!!!」

 テンションの高い映画です。何も情報を持たずに、それも通り掛かりに観たせいか、話の展開の意外性を大いに楽しみました。奇想天外な発想に、脳ミソをくすぐられます。
 内容の概略については、インターネットに公式のウェブサイトがあります。
http://www.maikohaaaan.com
 ここでは、至れり尽くせりの情報が満載です。これを見てから観る人も多いことでしょう。

 主人公は、京都のお茶屋で舞妓さんと野球拳をすることを夢見ています。最後に実現させるのですが、私は野球拳からリンハルト先生を思い出しました。
 ウィーン大学のリンハルト先生は、昭和17年に山片蟠桃賞をとられました。一昨年の夏、ウィー大学で開催された「EAJS」という学会でお目にかかりました。著書は『拳の文化史』(角川書店)。虎拳、狐拳、虫拳、そしてジャンケンなどなど。日本文化の中での拳を通して、日本社会の力の構造を探求しておられるのです。先生は、祇園のお茶屋で虎拳を研究としてなさったとか。海外から見る日本の魅力は、日本に定住している者にはわからないのかもしれません。文化というものは、本当におもしろいものです。

 お茶屋についても、映画を観た後に、明治時代に海外へのお土産用として作られた写真を思い出しました。それは、『THE JAPANESE TEA-HOUSE. The Social Restaurant.』(高木庭次郎、明治39年、玉村写真館)というものです(これは近々公開されるはずです)。その序文に、こう記されています。

The Japanese tea-house(social restaurant) is a national institution,and is patronised by all classes of society,there being many grades of these refreshment houses,from the highest to the lowest. These sketches represent the middle class tea-house,and thus,from a moral point of view,the repesentations are in no way extraordinary.

【日本のお茶屋(社交の場としてのレストラン)は、日本の慣習の一つで、日本社会に存在する身分階級の上から下まで、階級ごとに多くのお茶屋が運営されています。この絵では中流階級のお茶屋が描かれています。したがって、ここに描かれている表現は決して風変わりで驚くべきものというわけではありません。】

 この写真集には、お茶屋でのあそびの作法について、一つ一つの写真に説明があります。今で言えば、日本の文化の紹介ですが、当時は外国人に興味を持たれた珍しいものとして、商品価値を有するお土産だったようです。

 「舞妓Haaaan!!!」も、日本の伝統的な文化を自分とは切り離されたものとして眺めて楽しむものとなったお茶屋でのあそびが、明治の頃に外国人が興味を示したことと同じレベルで見せてくれます。
 今から百年前に外から日本を見たのと同じような視点で描いたこの映画は、日本の文化が外から興味本位で覗き見する対象になったことを示すものだと思います。

 気付かなかった日本の伝統文化を、このようにして再認識するのは、行き詰まった日本の将来を考える上で、メディアからの問題提起として、非常に好ましいものになっていると思います。
 難しくなくて、こうした楽しいものに形を変えて日本文化の魅力が提示されることは、日本再認識のいい手法だと言えましょう。

 また一つ、いい映画が出来上がったようです。
posted by genjiito at 07:41| Comment(0) | TrackBack(0) | ◎国際交流
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