2020年01月23日

[追補版]『かるた展望』に掲載された『四人一首』の記事

 『かるた展望 第70号』(令和元年12月23日発行、全日本かるた協会)に、目の見えない方々が楽しんでおられる「点字付百人一首」の最新情報が掲載されています。

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 「点字付百人一首」を主導なさっている「百星の会」のイベントなどでいつもお目にかかり、エネルギッシュに指導にあたっておられる南沢創さん(宇都宮市立中央小学校教諭)が、みずから開発された『四人一首』について書いておられます。「バリアフリーかるたの試合方法 メディアが注目 四人一首」(60頁)がそれです。
 まずは、『百人一首』と宇都宮との奇縁から語り出されていきます。

 宇都宮といえば、藤原定家に、小倉山荘の襖に和歌の染筆を依頼した蓮生の出身地である。蓮生の依頼から定家が選んだ和歌が、小倉百人一首のルーツとなった。
 そのことから宇都宮は今、百人一首の街を全国にPRするさまざまな取り組みを行っており、その一環として地元のメデイアが全国向けの情報発信を模索し始めた。


 『百人一首』は、京都・滋賀・福井をはじめとして、全国各地の学校や自治体でのイベントで盛り上がりを見せています。今年も年末年始には、毎日のように全国のローカルニュースで、さまざまなカルタ取り大会の様子が報じられていました。今年の名人戦は?、クイーン戦は? と、大きなニュースにもなりました。
 今回手にした『かるた展望 第70号』に掲載された南沢さんのバリアフリーかるたに関する記事は、この会誌を手にされた方のほとんどが、読まれないままに保管されていることでしょう。このバリアフリーかるたに関わっている1人として、この記事があることを取り上げて、目の見えない方々も『百人一首』を楽しんでおられることを記し留めて置きたいと思います。

 『四人一首』というものをご存知の方は、ほんの少数かと思います。まずは、最近のイベント(2019年11月2日)の写真で、その様子を想像してください。

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 次に、その発案者である南沢さんの説明を引きます。

 四人一首では、向かい合う二人の問に置かれた競技台の四隅に四枚の札が並べられ、その中から読まれた札を取り合う。取られた札のあった場所に次の札が追加され、場に並んだ四枚から次の句が読まれる。この繰り返しで試合が進む。四人一首のアイディアは、私の指導する宇都宮市立中央小学校放課後かるたクラブで生まれた。日ごろから競技かるたに親しむ子供達が、和歌を一首も覚えていない友達に、おもてなしの心をもって百人一首の楽しさを伝えられるよう工夫する中で、形を成してきた。3年ほど前、ふと〈これならば視覚障碍者も百人一首を楽しめる〉と思いつき、点字・拡大文字付かるたを楽しむ会『百星の会』の活動で紹介したところ、参加者から好評を得て、今の形に進化した。そして同会代表の関場理生さんにより、『四人一首』と名づけられた経緯がある。(60頁)


 この、目が見えない方々の「点字付百人一首」は、「オリンピック・パラリンピック」関連のイベントの一環で、今夏8月22日、23日(予定)に「文京区シビックセンター」においてバリアフリーカルタの全国大会として開催されます。

 私も、NPO法人〈源氏物語電子資料館〉の企画として、昨秋、次のイベントを実施しました。
「見える人と見えない人が『百人一首』を一緒に楽しんだ記念すべき日」(2019年10月26日)
 この集まりに南沢さんをご招待しました。しかし、全国を「点字付百人一首」の普及活動で飛び回っておられることもあり、ご都合がつかず「またの機会に」ということになりました。いつの日か、みなさまには直接『四人一首』の指導をお願いしたいと思っています。常に新しいことを考え続けておられる南沢さんなので、今年も楽しい提案をしてくださることでしょう。

 なお、目の見えない方々が『百人一首』と取り組んでおられるニュースは、私の知る範囲ではこの年末年始には流れていませんでした。東京五輪に関しても、「オリンピック・パラリンピック」という併称が広まっていることはいいことだと思います。ただし、私の所に届く会誌の中のいくつかには、「オリンピック」と言うだけで「パラリンピック」の言葉がないものもあります。一例をあげましょう。

 いよいよ東京オリンピックの開催が迫り、日本にとって記念すべき一年が始まりました。(巻頭言、2頁、『淡交タイムス 第546号』令和2年1月1日発行、茶道裏千家淡交会総本部)

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 また今年は四年に一度のオリンピックイヤーでもあります。先の東京大会から五十六年の歳月が経ちますが、アジアで最初に開催されたオリンピックの感動は忘れることができません。今回も多くの感動をオリンピック・パラリンピックのアスリートたちは与えてくれるでしょう。(同上、4頁)


 めくじらを立てるほどのことではないものの、同じ冊子の中でこれが混在している記事が収載されていると、つい気になります。後者の場合は、これまでの経緯と最近の表現の潮流を考慮して、「オリンピック」と「パラリンピック」が使い分けられていると思われます。しかし、前者の場合の「東京オリンピック」は、「東京オリンピック・パラリンピック」とすべきだと思います。
 これは、編集者の方にも問題意識がないために、見過ごされたままで印刷・発行されたのでしょう。

 こうした情報は、折々にこのブログでも取り上げていきます。目が見える人と見えない人が一緒に楽しめるスポーツの1つとして、この競技に理解が深まることを期待して、「点字・拡大文字付き百人一首〜百星の会」や「大阪点字付きかるたを楽しむ会」のイベントなどの広報のお手伝いを続けていきます。
 
 
 
posted by genjiito at 20:38| Comment(0) | ■視覚障害