2019年11月03日

盲導犬と一緒に「全国大会 2019」から「サイトワールド 2019」へ

 「バリアフリーかるた全国大会 2019」の2日目は、慌ただしく賑やかな朝食で始まりました。
 目が見えない方々のために、食事の準備ではあらかじめプレートにパンやソーセージやサラダやトマトなどを装っておきます。私は、パンとソーセージと水を担当しました。この時に気をつけるのは、プレートのどこに何があるかを一人ずつに説明することになるので、全員分を同じ位置に置いておく必要があります。いくつか間違えました。横で説明してくださる方、ごめんなさい。食事は、私がいつもゆっくりといただくペースで進むので、忙しない朝食にならなくて助かります。ゆったりと、1時間をかけていただきました。

 さて、食後にはオプションのイベントとして、「競技かるたのルールを取り入れた・新しい百人一首体験会」がありました。
 これは、「百星の会」の会長である関場理生さんが中心となり、「点字・拡大文字付き百人一首」の競技カルタのルールを見直して、さらなる新展開を図ろうとして企画されたものです。
 まず、12枚を用意します。カルタ台の左側4マスは空けて、その右側に6枚置きます。

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 お手付きをしたら、相手から1枚札が送られてくるので、自分の陣地の左側に置きます。

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 読まれていない方の陣地を触るとお手付き。
 相手陣が読まれているときに自陣を触るとお手付き。
 自陣が読まれているときに相手陣を触るとお手付き。
 お手付きをすると、自陣の札を一枚相手陣に渡します。
 これは、札を触るだけでよくて、持ち上げなくてもいいので、競技参加者にとってはやりやすくなります。

 お試し試合をして、感想を聞きながら今後の対策を考えるという、意見交換となりました。
 札が動くことによる勘違いのおもしろさがあります。
 中途失明者は距離感が狂うので、台の入れ替えはしないことになりました。
 手首から先での防御は取ったことにならないし、お手付きにもならない、そうです。
 ただし腕で複数枚を覆い隠すのは、妨害行為になりかねません。現在の日本かるた協会のルールでは、反則、警告、退場になることもあるそうです。いわゆる、有効手についての説明だとのことでした。
 協会の菅さんが専門家の立場からのアドバイスをいただけたことにより、この『点字百人一首』も本格的な競技へと格が上がってきていることを実感しました。私の科研で科研運用補助員として来てくれている同行の吉村君も、進行のお手伝いで大活躍です。日本かるた協会の方も、次々に飛んでくる質問に対応するのに大変でした。
 とにかく、目が見えない方々の理解と実践が速くて、横から見ていても驚くことの連続です。
 左利きの人のために、6枚の並べ方を考えたい、という意見もでます。
 台に番号を付けたらどうだろう、と。これについては、左上1、……左下6……とすることに、この場では一致しました。
 送り札を置く位置は、自由の方がおもしろい。しかし、覚える時間がかかるので、これは問題だとの意見もありました。
 空札を入れて、激しさを緩和することも導入されました。
 触ってOKなら、八ツ橋カルタでなくてもいいかな、とも。
 「おもてなしカルタ」と「勝つカルタ」の話で盛り上がりました。
 手を置いた時の面積で判定するのは不公平なので、手の上下を優先すべきか。
 2つのカルタ台の間がバラバラなので、距離感を平等にするため、1枚のカルタを横に置いた分の隙間を空けると平等になるのではないか、というのもいいアイデアです。

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 こうした質問や意見などを受けて、協会側の管さんが語られる競技カルタの実態を踏まえての説明は、素人の私にも非常によくわかりました。
 この『点字百人一首』も、いろいろなことを考えながら進む段階に入った、ということを実感する意見交換会でした。
 最後に外野側としての感想を求められたので、とにかくカルタ取りのレベルが回を追うごとに向上していることに驚きを隠せないことを、素直に印象として話しました。広く『点字百人一首』の存在を呼びかける段階から、次第に競技カルタとして前に突き進んで行くパワーがみなぎっていることがヒシヒシと伝わってくることも。そして、呼びかける段階から、とにかく前に進むことで、周囲の人たち少しずつ巻き込む時代に入っているのではないか、ということを言いました。
 和気靄々と、そして勝負にこだわる皆さんの熱意を感じながらの閉会式でした。

 午後は、まずは飯田橋でお昼ご飯をいただきました。盲導犬は、ご主人の椅子の下で寝そべっています。お昼は食べさせず、朝と夜の食事だけで一緒に暮らしているそうです。そう聞くと、なんとなく食べたそうな表情に見えてきます。
 錦糸町駅前にある、すみだ産業会館サンライズホールで開催されている「第14回視覚障害者向け総合イベント サイトワールド 2019」に行きました。
 盲導犬と一緒の移動です。はじめて2日間を盲導犬と過ごすこととなった私は、その賢さに感嘆しました。常に、さりげなく横にいるのです。

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 エレベーターで8階に上がろうとしていた時、先週の四条烏丸・玄想庵で開催したNPOのイベントに来てくれていた春道くんとお母さんとにバッタリと出会いました。楽しかったと言ってくれたので、嬉しくなりました。それにしても、こんなところで会うとは、狭いものです。

 福島からお越しの渡邊さんは、シンポジウム「視覚障害教育の現状と課題」に参加されました。お仲間が、パネラーとして出席されるとのことです。
 一緒に行った目の見えない人たちが、囲碁の体験コーナーに行きたいとのことなので、そこへ案内しました。囲碁も、さまざまな取り組みがなされていることを初めて知りました。

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 囲碁が終わるまでの時間を、私は同行の吉村君と一緒に、自分の興味と関心のある展示ブースを見て回ることにしました。
 まずは、「新潟大学工学部福祉人間工学科」のブースへ行きました。ここでは、渡辺哲也先生と、触る立体地図の話から変体仮名の立体文字に関する話をしました。文学の分野で触読の研究をしていることを理解していただき、今後が楽しみな展開を予感させる出会いとなりました。
 「SINKA」では、パソコンから点字やイメージが立体印刷できる「Easy Tactix」の説明を聞きました。これは、変体仮名をいかに精細に立体コピーできるか、という問題を解決するものになるはずです。今後につながる情報が得られました。

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 「ジェイ・ティー・アール」は、渡辺先生が紹介してくださった会社で、点字プリンターに関する有益な情報をいただけました。
 「欧文印刷」では、平仮名やカタカナを立体文字にしたシートを見かけたので立ち寄りました。出版物への応用が効くので、詳しく話を伺いました。ここには、今日の午前中まで、一緒に『百人一首』のカルタ取りをしていた女性が、アルバイトで参加していました。人の縁とはおもしろいものです。
 「ケージーエス」では、私が持っている「ブレイルメモスマート 16」の後継機である「ブレイルメモスマート Air 16」の話を聞きました。

 帰ろうとした時、出口のすぐ横にあった「視覚障害者支援総合センター」のブースに、『視覚障害 その研究と情報』を発行しておられる星野敏康さんがいらっしゃったのです。久しぶりです。これまでにも、星野さんには私の研究に関わる記事を何度か『視覚障害』に書いてくださいました。また、私の研究テーマに合った研究者の紹介もしてくださった方です。突然だったからこその、嬉しい出会いでした。

 会場から錦糸町駅に向かう途中で、盲導犬が排泄しました。小振りのものを2つ。会場やエレベータの中などでは、じっと我慢していたようです。外に出て、人が少ないと感じた頃合いを見計らって、しゃがみ込んで動かなくなりました。どうしたのだろう、と思ってみると、コロンコロンでした。主人である女性は、さっとカバンからビニール袋をとり出して、こともなげに回収です。そして、水の入ったペットボトルで、地面に水を撒いて紙でふき取っておられました。まるで目が見えるかのような、爽やかな仕草で処理をしておられたのが、今回の旅で印象深かった1つとなりました。
 なお、今回の道中で、『百人一首』のカルタが5ヵ国語で出ている、ということを聞きました。わたしは、英語の大型カルタを持っています。まだあるとのことなので、調べてみます。

 稔り多い旅となりました。多くの方のお世話になりました。またお目にかかることを楽しみています。
 
 
 
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ■視覚障害