2019年09月15日

読書雑記(268)船戸与一『おろしや間諜伝説』

 『おろしや間諜伝説 ゴルゴ13ノベルズV』(船戸与一、小学館文庫、2017年7月)を読みました。

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 本書は、「ゴルゴ13ノベルズV」として刊行されたものです。
 本書の背景がわかるように、まずは〔「BOOK」データベース〕から引きます。

ゴルゴ13の秘密に迫る、シリーズ第3弾!

直木賞作家・船戸与一が、劇画最高峰「ゴルゴ13」を描いた最強のエンターテインメント、第3弾!
作家デビュー前、脚本を手がけていた「ゴルゴ13」シリーズの中から、選りすぐりの3話をみずからが小説化。その完結編をお届けする。
新宿区市谷。防衛省統合幕僚監部会議室のモニターに、ひとりの東洋人が映し出された――通称ゴルゴ13。
この伝説的なスナイパーを、日本政府の専属にしたい、と一等陸佐は切り出した。
「わが国の自衛隊は憲法上、攻撃的なことは何も出来ません。それをゴルゴにやらせる」
狙いは、極東情勢の緊張を創り出す者、反日家で知られる米国国防省の重鎮、この二人の暗殺だった。
ゴルゴ13との専属契約はどの国の情報機関もなし得ていない難題だが、その出生の秘密を握ることで契約を結ぼうとする。
ゴルゴ13はワシリー・スメルジャコフの息子である可能性が高い――これを立証するため、調査員はロシアへ飛ぶ。
だが、ここから、血なまぐさい惨劇が始まった!
ゴルゴ13の出生の秘密ははたして暴かれるのか?
真相に迫る者を次々に狙撃したのは誰なのか?
スリリングな展開から目が離せない第3話。

かつて外交官としてロシア大使館に勤務していたことでも知られる作家・佐藤優氏による解説も必読です!


 世界の中でも、アジア各国が舞台の中心となります。日本を皮切りに、ロシア、旧満州、ベトナム、ウクライナ、ルーマニアと、各地で事件が起きます。私が興味を持っている国々が出てくるので、ワクワクして読みました。
 時は、民主党の菅直人が首相だった頃です。通称ゴルゴ13、デューク東郷をめぐる話が展開します。日本政府専属の暗殺者になってもらう、ということです。
 まずは、ワシリー・スメルジャコフの息子がゴルゴ13であることを確認することが前半のメインテーマです。その調査地は、ベトナムのハノイとウクライナのオディッサ、ルーマニアのブラショフでした。この3ヶ国に内閣情報調査室から派遣されたのは、語学の天才と言われた自衛官です。しかし、3名ともに額のど真ん中を、しかも一発で撃ち抜かれて亡くなりました。こんなことができるのは、ゴルゴ13しかいません。
 国後島にロシア軍機が墜落する話も、複雑でおもしろい話になっていきます。北方領土の返還に関わって、スパイ事件も絡んでいます。
 外交問題にスパイ事件が絡み、その結果として、防衛省の高官がロシアと内通などなど、ドラマチックな展開で読ませてくれます。【4】

■書誌:本作は、『ビッグコミック』(1977〜78年、小学館)に発表されたゴルゴ13シリーズの中でも、『おろしや間諜伝説』(脚本協力/外浦吾郎)をもとにして小説化されたものです。その後、本作は、2011年4月に小学館から単行本として刊行され、本書はその文庫化です。
 
 
 
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ■読書雑記