2019年08月27日

『平安文学翻訳事典 2020』の分類項目(試案)と解説項目

 今日は、研究協力者の2人と一緒に、本科研の最終報告書の1つとなる『平安文学翻訳事典 2020』の構成を検討しました。そして、収録する本をどのように整理するかを考えました。この件では、第1回目の打ち合わせとなります。

 これまでに研究代表者として私が、海外の文学研究に関して研究成果を公刊した資料集は、以下の8点があります。
『海外における源氏物語』(2003年)
『スペイン語圏における日本文学』(2004年)
『海外における平安文学』(2005年)
『海外における上代文学』(2006年)
『海外における日本文学研究論文1+2』(2006年)
『日本古典文学翻訳事典1〈英語改訂編〉』(2014年)
『日本古典文学翻訳事典2〈平安外語編〉』(2016年)
『平安文学翻訳本集成 2018』(2019年)

 これらは、統一した分類基準によって翻訳本に関する諸書を整理してはいませんでした。そこで、この時点で基本的な分類項目を立て、今後とも増え続ける翻訳関係の資料を整理するための方針を確認しました。

平安文学関連の翻訳書籍の分類項目
(明治以降、試案、2019/08/27)

(1)翻訳(作品自体の翻訳、現代日本語訳を含む)
(2)抄訳
(3)研究(翻訳者関連本を含む)
(4)解説
(5)小説(翻案)
(6)随想
(7)漫画


 なお、各翻訳本の解説では、一冊ごとに次の項目を立てて説明をして来ました。これは、今後とも継続する予定です。

【言語の種類】
@ タイトル
A 翻訳者
B 出版地
C 出版社・発行者
D 発行・刊行年
E 巻号
F 頁数
G 序文・解説の内容の概略
H 翻訳に用いた底本情報
I 翻訳内容の構成、章立
J 図版、挿絵の有無
K 参考文献の有無
L 索引の有無
M メモ・その他


 この方針で記述した一例として、フランス語訳『伊勢物語』をあげます。

【フランス語】
@『伊勢物語』
  Contes d'Ise (Ise monogatari)
A翻訳者 Gaston Renondeau(ガストン・ルノンドー)
B出版地 Paris(パリ/フランス)
C出版社・発行者 Gallimard(ガリマール出版)
D発行・刊行年 1969 年
E巻号 1
F頁数 184 頁
G序文・解説の内容と概略
 ルノンドーによる『伊勢物語』のフランス語訳。序、解説(7 ~ 11 頁)はいずれも翻訳者自身による。序には、はじめに能楽作品を通じて『伊勢物語』の世界と和歌に触れたとある。また、本書は Frits Vos(フリッツ・フォス)による A Study of the Ise monogatari , 1957 の出版以後の翻訳であり、『伊勢物語』の価値を再評価するために力を尽くした、とある。解説では、まず和歌の形式・修辞法について説明し、『伊勢物語』の成立と年代に関しては、主人公在原業平に関する歴史書の記述や『古今和歌集』(905 年)、『後撰和歌集』(951 年)等に重出する和歌の存在から、成立年代を 951 年頃、もしくはそれ以降とするフォスの説を紹介する。
H翻訳に用いた底本情報
 伝定家筆本
I翻訳内容の構成、章立
 翻訳部分(17 ~ 181 頁)は、全 125 段を、長短を問わず 1段ごとに頁を改めて訳出する。和歌の部分は行と書体を改め、字数を下げ、上句と下句の境を意識しながら主に5行の分かち書きにする。掛詞の翻訳には、詞と掛けられた意味を併記した箇所(108 段)がある。適宜、脚注に有職故実や史実、語釈などを付す。
J図版、挿絵の有無
 翻訳の前に、史料に確認される在原業平の略歴を掲載し、藤原一族及び皇室の系図から業平の系譜上の位置を示す(13 ~ 16 頁)。
K参考文献の有無 −
L索引の有無 −
Mメモ・その他
 表紙には仏の坐像を使用する。Collection Unesco D’ oeuvres Représentatives Série Japonaise シリーズの1つである。翻訳者・ルノンドーには、他に谷崎潤一郎『鍵』(La confession impudique, 1963)、三島由紀夫『宴のあと』(Après le banquet, 1965)などの翻訳がある。


 ここに提示したのは、あくまでも今日の時点での、最初の試案です。
 大方のご意見をいただく中で、検討を重ねながら確定していきたいと思っています。
 ご教示をいただけると幸いです。
 
 
 
posted by genjiito at 20:56| Comment(0) | ■科研研究