2019年08月24日

「源氏物語と三十六歌仙の写本を変体仮名で読む会」(第4回)

 今日の資料は、A4版で13枚です。これまでは、両面コピー版を配布していました。しかし、使い勝手がよくないとのことなので、片面コピーを綴じて資料集にしました。本日の参加者は8名です。
 まず、配布したプリントの確認からです。

・前回第3回で一緒に学んだことの確認
  (本ブログの記事に書いた報告文を参照)
・敦忠の絵の特徴の確認
・今日見る三十六歌仙は、友則・猿丸・小町の3名
・ハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「須磨」巻は、13丁表1行目下の「む可〈改行〉へ堂てまつ里てん」から
・字母について、「个」か「介」の認定の難しさ


 「紫風庵」所蔵の襖絵「三十六歌仙」について、これまで私はその図様のパターンの点から狩野派の絵に近いと言って来ました。しかし、展示図録『みんなでつくろう展覧会 描き出された歌人たちー三十六歌仙ー』(みんなでつくろう展覧会スタッフ編、斎宮歴史博物館、平成十五年二月二十三日)に掲載されている例を見ながら、土佐派の方が近いのではないか、と私見を変えることにしました。このことは、敦忠の絵がいい例です。
 すでに、「「源氏物語と三十六歌仙の写本を変体仮名で読む会」(第3回)」(2019年07月20日)で示したように、「紫風庵」の絵は次の通りです。

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 これに対して、架蔵『探幽筆 三拾六哥仙』の敦忠はこうです。

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 過日のブログにも書いたように、左手の扱い、そして装束の違いから、「紫風庵」の絵は土佐派の流れを汲んでいます。今、絵に関してよくはわからないので、これは専門家の方のご教示に待ちたいと思います。
 なお、この「紫風庵」の敦忠の衣装に関して、そのきめ細やかな筆遣いや色使いに注目して、再度みんなで見直しました。なかなか凝った、画家の絵筆の技が浮かび上がります。

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 今日の三十六歌仙の和歌は友則・猿丸・小町です。
 歌仙絵に添えられた和歌は、「変体仮名翻字版」で表記すると次のようになります。
 最初の友則だけは散らし書きなので、これは特に注意して読みましょう。

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■友則
 (秋風にはつかりがねぞきこゆなるたがたまづさをかけてきつらむ)
                      (古今和歌集 二〇七)
   右 紀友則
 多可   【秋】可勢暁
  【玉】      丹
 つさを    者津【雁】
   か遣て   可ねそ
  きつら   きこ遊
    舞     なる


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◎左から三領目の襖《左中》
■猿丸大夫
 (奥山にもみぢ踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋はかなしき)
                 (古今和歌集 二一五)
   左 猿丸大夫
  【奥山】尓もみち婦三
    王けなく【鹿】の
   こゑきく【時】楚
     【秋】盤かなし起


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◎左から三領目の襖《左下》
■小野小町
 (色見えでうつろふものは世の中の人の心の花にぞありける)
                  (古今和歌集 七九七)
  右 小野小町
【色見】盈傳(伝)う徒ろふ
  も能盤よの那可農
【人】能こゝろの
   者な尓所あ里介類


 藤原公任撰「三十六人撰」の内、次の赤字をすでに見ました。これで、3分の1です。
(第2回)柿本人麿 紀貫之 凡河内躬恒 (第1回)伊勢 大伴家持 山辺赤人 在原業平 僧正遍昭 素性法師 (第4回)紀友則 猿丸大夫 小野小町 (第3回)藤原兼輔 藤原朝忠 藤原敦忠 藤原高光 源公忠 壬生忠岑 斎宮女御 大中臣頼基 藤原敏行 源重之 源宗于 源信明 藤原清正 源順 藤原興風 清原元輔 坂上是則 藤原元真 小大君 藤原仲文 大中臣能宣 壬生忠見 平兼盛 中務


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 休憩を挟んで、後半はハーバード大学美術館蔵『源氏物語』「須磨」巻を読みました。
 「堂」が何度も出てくるので、目を馴らすことを強調しました。「ま」は今の字形(フォント)と違っているので、一つずつ確認しました。
 13丁裏の最終行に、「鏡臺(台)」という語が出てきました。鎌倉時代と同じ文字を今も使って表記していることに、新鮮な驚きがありました。

 こうした勉強会場として特定非営利活動法人〈源氏物語電子資料館〉がお借りしている「紫風庵」の門柱も、昭和初期のままなのです。門灯もそうです。これらも建物同様に文化財の指定を受けるように奨められているとのことでした。大切に守っていきたいものです。

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 次回は、9月28日(土)の午後2時からです。
 江戸時代に描かれた三十六歌仙の絵と和歌を直に見ながら勉強できるという、贅沢な時間に身を置き、そして鎌倉時代に書写された『源氏物語』の古写本も読んでいます。
 興味のある方の参加を、お待ちしています。
 
 
 
posted by genjiito at 23:55| Comment(0) | ◎NPO活動