2019年07月15日

大盛会だった「大阪点字付きかるたを楽しむ会」の福岡開催

 今日は、「大阪点字付きかるたを楽しむ会」が福岡県春日市であるため、早朝より博多へ移動です。
 しかし、新幹線が1時間遅れで京都に来たため、移動の調整でバタバタしました。こんなに遅れる新幹線に出会ったのは何十年ぶりでしょうか。この前がいつだったのか、まったく思い出せないほど昔のことです。新幹線の運行システムの信頼が高いことは、その背景にある技術力が支えているのです。すごいことです。といっていたら、車内放送が65分遅れのお詫びの後に、「この先、線路の高架に自動車が衝突したため、確認のために発車を見合わせることがあります。」とのこと。もう、無事に着いてくれたらいい、と思うようになりました。海外の交通機関ではよくあることです。どうしようもないので、大きな気持ちでゆったりと座って行くことにします。そうこうするうちに、姫路駅で停車し、ひとまず様子見となりました。結局、1時間半の遅れで博多に着きました。

 今日は、目が見えない方々が『百人一首』のカルタを楽しむ日です。私は、この競技が国際的に広まり、来夏のパラリンピック関連のイベントで認知度が高まるように、国内はもとより、国際交流の立場からも広報の役割を担って参加しています。日本の古典文学の精華の一つである『百人一首』を世界的な認知へと展開するためにも、来年のオリンピック・パラリンピックは好機です。現在取り組んでいる科研の「海外における平安文学及び多言語翻訳に関する研究」(課題番号︰17H00912)でも、「百人一首」はもとより、この「点字付百人一首」も取り上げて、研究対象としているところです。

 会場となったクローバープラザは、立派な施設でした。その最上階である8階でかるた会は行なわれます。

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 参加者は30名。東京からは、百星の会の関場さん親子。大阪の事務局の兵藤さんと野々村さん。九州かるた協会のお2人には初めてお目にかかりました。

 野々村さんの開会宣言、兵藤さんの挨拶で始まりました。
 京都小倉かるた会と九州かるた会のプロの方(公認読手)の紹介。
 天智天皇の歌と菅原道真の歌が九州と関係があるとのことで、地元の方からの歌の説明がありました。
 今日取り上げる歌10首の資料と、点字付きカルタの実物も配布されました。

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 自己紹介では、福岡からはもちろんのこと、大牟田、朝倉、北九州、長崎、明石、大阪、東京と、各地から集まっておられました。

 関場さん親子の名調子で、かるた会は楽しく進みます。
 まずは「百人一首クイズ」からです。テーブルに置かれた3つの品物が、それぞれどの和歌と関係するかを答えるものでした。
 テーブルには(1)焼塩、(2)モグサ、(3)青汁、が置かれています。

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 配布された点字資料(墨字プリント)には、次の和歌が記されています。
百人一首クイズ
 テーブルに並んだ1から3番の品物と関係の深い歌はどれでしょう?

心あてに折らばや折らむ初霜の
  置きまどはせる白菊の花
    凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)

君がため春の野に出でて若菜つむ
  わが衣手に雪はふりつつ
    光孝天皇(こうこうてんのう)

来ぬ人をまつほの浦のタなぎに
  焼くや藻塩の身もこがれつつ
    権中納言定家(ごんちゆうなごんていか)

かくとだにえやはいぶきのさしも草
  さしも知らじな燃ゆる思ひを
    藤原実方朝臣(ふじわらのさねかたあそん)


 テーブルの上の3品を触り、口にしたりなどして、答えを探します。見えないことから、触覚・味覚で想像を膨らませるのです。これは、なかなかいいアイディアで、五感を駆使したゲームとなっています。私は、モグサを始めて触りました。これは、若い方には難題でしょう。その意味もあって、火をつけたお灸が、ヒントとして回されました。

 今日の会場には、盲導犬と一緒の方もいらっしゃいました。盲導犬と一緒に数時間を過ごしたのは初めてです。

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 「四人一首」は、目の見えない方々のために、南沢さんが開発なさったものです。ボードの四隅にリズミカルに手を置く体操をすることで、いい準備運動になります。
 続いて、決まり字の練習。実際にかるたを4枚取り出し、ボードの四隅に置きます。
 例えば、「よを」と読まれた時、「よにあふさかの」を取ります。ここで、「あふさか」と書かれている言葉の読み方や意味がわからないとのことで、昔の書き方だと説明されます。こうした歴史的仮名遣で書かれた札を、現代の表記による音読で取ることの難しさが、今後の普及に問題となることでしょう。特に、海外からの参加者が増えるに従って、こうした日本語の文字の表記に関する疑問は多く出てくるはずです。その対策を、今以上にすべきでしょう。

 盲と聾の方もいらっしゃいます。2台のブレイルメモと指文字でのコミュニケーションで、みなさんと一緒に『百人一首』に取り組んでおられました。これは、コミュニケーションに時差が伴うものなので、読手が読み上げると同時にブレイルメモのピンが表示するシステムを開発すべきです。どなたか、提案してくださいませんでしょうか。

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 歌を詠む練習も、しっかりと丁寧に行われました。読む時に気をつけること、特に決まり字の発音をいかに明瞭に詠むかなど、わかりやすい説明が九州の読手の方からありました。最後には、初めて読み上げる体験をしたという方々が、積極的に読手となって場を盛り上げてくださいました。楽しさが会場全体を包み込む、いい雰囲気となっていました。

 実践編では、京都ライトハウスが作成されたかるたを使って行われました。

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 初めての方が何人もいらっしゃっいました。そのほとんどの方が、目が見えなくてもかるたが取れることに感動しておられました。私の街にも広めたいと。とにかく実際に体験していただくことが、一番の広報となるようです。

 嬉しいニュースもありました。
 パラリンピックを機会に、バリアフリーかるたの大会を開催する準備が進んでいます。そして、来年の5月と8月には、パラリンピックの一環として、ワークショップの形で東京と近江神宮を会場として実施するそうです。このことは、近日中にこのブログでも取り上げてお知らせします。その準備として、「百星の会」では11月2日(土)のイベントとして、次の全国大会も企画されています。ぜひ、多くの方に参加してほしいものです。

速報! 百人一首の全国大会が
11月2日(土)に東京で開催されます!
出場選手を大募集中です。
個人戦と団体戦(1チーム3人)。
会場は「サイトワールド」にも行きやすい飯田橋です。
出場選手には宿泊費の補助あり。
お申し込み・お問い合わせは、「百星の会」まで!


今後の「点字付百人一首」の展開がますます楽しみです。

 なお、『百人一首』に関して点字とデイジーの図書では、田辺聖子さんの本、阿刀田高氏の本、橋本治氏の本も、お勧め図書として関場理生さんから紹介されました。現代詩の最果タヒさんの本はデイジーだけだそうです。興味のある方は、ぜひご一読を。

 役員のみなさま5人と一緒に、今回の反省会と今後のさらなる発展のための意見交換会を、帰り際に事務所でコーヒーをいただきながら話しました。次回に向けて、いい提案がいくつも出ました。私は、盲教育史研究会との連携を提案しました。
 一緒に、博多まで移動しました。再会を約して、盛会だった会の余韻に浸りながらお別れしました。みなさま、お疲れさまでした。
 私は博多で一泊するので、夕食は筑紫女学院大学の須藤氏と博多駅前で、いろいろな話をしながら、京料理屋さんでおばんざいをいただきました。最近は食が極端に細り、この時も多くを残しました。小まめに食事をする日々を送っています。
 
 
 
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■視覚障害