2019年07月13日

日比谷で源氏の橋本本を読む(13)[講座新設と異文読解]

 日比谷図書文化館で『源氏物語』を読む講座がある日です。ただし、自宅で朝食を食べている時に腹痛に見舞われました。消化管を持たない私にとっては、最近とみによくあることです。食べ残してでも、出かけるしかありません。

 京都駅の構内で、お昼ご飯を兼ねたお弁当を買いました。しかし、それもほとんど食べられないままに、腹痛を我慢しながらの上京となりました。いつものことで慣れているとはいえ、身体には堪えます。出がけに妻が手渡してくれた、副食と化しているチーズと栄養ドリンクでお昼を済ませました。

 今日の資料は、A4版のプリント6枚。日比谷図書文化館のスタッフの方に印刷してもらい、お話をしながら一緒にホッチキス留めをしました。
 始まる前に、写本を翻字してくださっている方からの疑問点にお答えしました。漢字として翻字するのか、変体仮名として字母である漢字を表記するのか、ということです。初めてということで、いろいろと思い悩んだ末の質問でした。数十個の疑問箇所について、その一つ一つの判断の基準を示しながらお答えしました。NPO活動のメイン事業として、「変体仮名翻字版」を作成しています。その作業過程において、翻字にあたっての漢字表記の問題は、面倒なことが多いのです。それでも、漢字と思った文字には隅付き括弧(【 】)で括っておいていただくようにお願いしています。後で括弧を外すのは簡単だからです。

 講座が始まる前とはいえ、頼まれた資料を渡したり、目が見えない学生さんのNPO法人からの奨学金の手続き書類の確認、この1ヶ月間にお願いしたりお願いされたりしたことの回答や報告を受けるなど、何かと慌ただしい対応に追われます。
 受講生のお名前を読み上げて出欠を取った後、過日のブログ(2019年07月07日)に書いた変体仮名の「王」について、プリントを使って確認しました。これは、日常の中にある生きた文字に関する資料の検討です。

 山下智子さんの京ことばで読む『源氏物語』の案内チラシも、このタイミングで確認しました。

 この講座は「翻字者育成講座」です。今秋からは、新しく「異文を多角的に楽しむ講座」を開設することになりました。前回の講座報告(2019年06月08日)で、次のように書きました。
この日比谷図書文化館での講座に関しても、前回同様に橋本本の本文を解釈してその意味をみんなで考える勉強会の設立を、具体的に打ち合わせました。これについては、近いうちに結論を出すつもりです。

 これに関しては、これまで講座が終わってから外で実施していた課外講座を、この古文書塾「てらこや」のプログラムの中で展開するものです。主催者側が認めてくださったので、その募集チラシの素案を提示し、少し説明をしました。まだ検討中の文案ながらも、参考までに引用します。これについて、ご教示いただけると幸いです。

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 これは、来月には広く公開して受講者を募集することになります。新設の「異文を多角的に楽しむ講座」だけの受講者も歓迎します。午後の「翻字者育成講座」と連動するものではあっても、これはこれで単独の講座として扱われます。

 今日のメインは、前回読んだところの続きにある、本文異同の問題点の確認です。橋本本と大島本の2つのグループ間には、さまざまな本文異同があります。この段落ではその違いが顕著な例があるので、日頃は翻字以外はしない方針のこの講座であっても、あえて取り上げることにしました。これは、今秋から始める異文の問題をどのようにして対処するのか、というシュミレーションでもあります。
 以下の資料を配布しました。

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 異文を丁寧に確認し、今この講座で読んでいる橋本本が大島本と大きく違うことを説明しました。
 橋本本が「さまたけとや」とする箇所を、大島本は「ほたしに」とします。「ほだし」と「きずな」について説明しながら、ここでの表現の違いに目を向けてもらいました。続いて、橋本本が「息の下なる御こゑも御(心?)くるしうほのかに絶え絶え聞こえて」とするところを、大島本が「心細げなる御声絶え絶え聞こえて」となっている箇所の意味の違いを考えました。この本文異同については、この講座が終わってから新橋駅前のレストランに集まっての課外講座でも、おもしろかったとの反応があったので、わかりやすい異文の確認となったようです。

 残りの30分は、テキストである写本橋本本の翻字を進めました。44丁裏の最終行まで見終わりました。

 前述のように、レストランに場所を移しての課外講座は、今日の内容の確認と、今秋から始める「異文を楽しく読む講座」の内容について相談しました。さらには幅広い話題で、2時間半以上も語り合いました。さまざまな立場から新鮮な意見が聞けるので、これもいい勉強の場となっています。

 最終の京都行き新幹線に飛び乗り、食事をしようとした時です。また、腹痛と吐き気がしました。緊張感が解けると、今朝の悪夢のような時間に包まれました。今日は体調が良くないようです。新幹線でこの文章を書くと、早々に身体をシートに沈めました。明後日は九州に飛ぶので、明日はひたすら身体を休めることにします。

[追記]
 今日、受講生の中で翻字のお手伝いをしてくださっている方々にお渡しした翻字依頼のための資料は、次のものでした。いつも、どなたにどの写本のどの巻をお願いしたのか、すぐに忘れます。後でメモも探せないこともしばしばです。情けないことです。そこで後々のためにも、ここに記録しておきます。いずれも保坂本です。

09葵(SI氏)・10賢木(SE氏)・12須磨(HM氏)・13明石(HM氏)

 
 
 
posted by genjiito at 23:57| Comment(0) | ■講座学習