2019年02月07日

キャリアアップ講座(その16)『源氏物語』のくずし字を読む(最終回)

 今年度最後の勉強会となりました。
 一昨年、2017年4月に私が着任し、すぐの6月から始めた「熊取ゆうゆう大学」の社会人講座「『源氏物語』の古写本を読む」では、『国文学研究資料館蔵 橋本本『源氏物語』「若紫」』(伊藤鉄也・淺川槙子編、新典社)をテキストにして進めました。
 2018年度からは、「キャリアアップ講座」として再スタートです。昨年5月から10ヶ月にわたり、毎月1回のくずし字を読む勉強会を開催して来ました。10名ほどの地域住民の方々と一緒に、古写本の変体仮名を読んで来たのです。

 講座の内容は、『国立歴史民俗博物館蔵『源氏物語』「鈴虫」』(伊藤鉄也・阿部江美子・淺川槙子 編著、新典社)を読み進めることで、仮名文字を確認する集まりです。もっとも、私が喋りすぎて、遅々として進みませんでしたが。

 最終回の今日は、それでも残りをすべて確認しようという勢いで臨みました。結果は、あと2丁、4頁分を残して時間となりました。

 今日は最後ということもあり、午後1時半から3時半までと、いつもよりも早く始まりました。しかし、最後ということで名残惜しさもあってか、ついついいろいろな話となり、1時間も延びてしまいました。
 みなさまと楽しい時間を共にできたことを、あらためた感謝いたします。特にSさんとは、私が東京に行っていた間を挟みながらも、23年ものお付き合いとなりました。

 明日、2月8日に新発売となる日本語ワープロ「一太郎」に、異体字や変体仮名が搭載されていることや、日本語の再評価がなされ出した機運の中で、手書きの仮名文字は今後ますます注目されると思います。これまでに勉強してきた変体仮名が、これからは役立つ時代を迎える予感も、みなさまに伝えました。
 一人でも多くの方が、仮名文字としての変体仮名に親しんでほしいものです。古典籍などの原典を読む楽しさを実感していただきたいとの思いは、常に抱き続けています。

 今日は、「支」という変体仮名が2ヶ所も出てきました。赤丸印をつけた文字がそれです。

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 字母を交えて翻字をすると、右側は「佐多免な支」(15丁裏1行目)、左側は「ま本し支越」(16丁裏1行目)となります。
 この「支」は「 k i 」と読む変体仮名です。これは高いレベルの識字感覚を求められる字体で書かれています。
 日常的とまでは行かないまでも、折々に変体仮名を目にしていると、こうした文字は文脈から読めるようになります。

 雑談の中では、いつも話題にするように、答えは一つではない、ということも確認しました。優等生と言われる、言われてきた人こそ、答えはある、一つしかないと思いがちです。しかし、答えはいくつもある、ということを前提にして考えていく方が、より良い解決の道を歩むことができるのではないでしょうか、という私見を、今日も語ってしまいました。
 受講なさっていた方々からも、さまざまな意見をいただきました。意見交換のできる勉強会は、楽しいものです。

 さらには、若者を対象にした学校だけではなくて、社会人を、それも高齢者や心身が不自由な方との交流をも盛り込んだ学校、と言うよりも「学びの場」の必要性も提示しました。知的好奇心に溢れる方が多くなっています。そんな時代だからこそ、一般的なカルチャーセンターとは異なる、数歩踏み込んだ内容を展開する、研究指向の「学びの場」の必要性とその意義を考えたりしました。
 
 
 
posted by genjiito at 23:59| Comment(0) | ■講座学習