2019年02月01日

ヤンゴン外国語大学で講義

 午前中は、ヤンゴンの中心地にあるシュエダゴン・パゴダという寺院へ、佐藤さんに連れて行ってもらいました。約2500年前に建てられたものだそうです。昨年3月のブログを見返すと、ここに来ています。しかし、あの時は慌ただしく移動していたせいか、記憶が曖昧です。今回は、じっくりと時間をかけて拝観しました。

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 ちょうど、奉納された金箔をパゴダの内部に運び込む、珍しい儀式に出会えました。粋なパフォーマンスです。

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 さらには、巨大な涅槃仏であるチャウッタージー パヤーにも立ち寄ってくださいました。初めて見るものです。立ち上がると、東大寺の大仏様とどちらが背が高いか、などと考えたりしました。

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 午後3時には、ヤンゴン外国語大学へ行きました。昨年3月にも来ており、今日もお越しの佐藤先生にお話しを伺った大学です。

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 今回は、国際交流基金がヤンゴンの地で活動を開始したこともあり、新しい表示板が取り付けられていました。

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 教室に行く踊り場には、学生たちの習字が張り出されています。

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 このヤンゴン外国語大学では、「百人一首の魅力を味わう ―日本の和歌を知りカルタにトライしよう」というテーマで用意を進めてきました。
 私の題目は、「映画『ちはやふる』の恋の歌二首 ―四〇番歌「しのぶれど」と四一番歌「恋すてふ」―」としました。国際交流基金が映画『ちはやふる 結び』を上映なさることと連動しての企画です。
 予定していた内容は、平安時代の歌合で勝負がつかなかった歌を読み解くことで、日本文学に興味をもってもらうことでした。しかし、昨日来、佐藤さんからヤンゴンの大学事情について話を伺っているうちに、和歌の解釈を中心とする話は控えめにすることにしました。そうではなくて、日本語の学習に留まることなく、その次のステップとして、理解した日本語で日本の文化や文学や歴史について考える、という研究指向へと興味と関心が向くような話をすることに変更したのです。
 十数年前にインドでやりはじめたこの手法で、これからのミャンマーにおける文化交流のお手伝いをするために、私が思うスタートにあたっての心構えをお話しました。とにかく、今回がミャンマーにおける文化文学に関する初めての講義です。語学教育に終わらないようにして、これからはコラボレーションによる共同研究へとつなげて行きたいという、期待と希望をお話しました。
 その前の挨拶の後に、『百人一首』の和歌を印刷したお菓子を配布しました。少しでも親近感を抱いてもらうためです。近衛家の変体仮名カルタ(複製版)と「点字付百人一首」を回覧して、実際に触ってもらいました。江戸時代のカルタから、数百年の時空を飛び越えていただいたのです。また、目が見えない人も『百人一首』のカルタを取れることを、「点字付百人一首」から実感してもらいました。カルタを取ることは、目という視覚に頼るのではなくて、読み上げられる和歌を耳で聴いて音の世界として楽しんでもらいたい、という趣旨のことも伝えました。
 そして、その楽しさは、明日の国際交流基金でのイベントで体験してもらえることも、しっかりと宣伝しました。
 研究的な視点からは、『百人一首』を具体的にどのような切り口で読んでいけばいいのかという一例として、40番歌と41番歌について具体的に問題提起しました。

四〇「忍ぶれど 色に出でにけり わが恋は
    ものや思ふと 人の問ふまで」平兼盛
四一「恋すてふ わが名はまだき 立ちにけり
    人知れずこそ 思ひそめしか」壬生忠見


 歌の解釈は配布したプリントに任せ、私はその2首が『百人一首』に取り上げられた背景を確認しました。『百人一首』を編集した藤原定家の気持ちや、当時の歌の評価などから、『百人一首』は単なる和歌のアンソロジーではないことを強調して、研究するおもしろさをお伝えしたのです。解釈で日本の研究者に立ち向かうのではなくて、『百人一首』に選ばれたそれぞれの歌の性格と読まれてきた歴史に目を向けることをポイントにしました。

 私の古典文学の立場からの話を受けて、橘先生は、三島由紀夫の『春の雪』の映画を映し出しながら、冒頭の『百人一首』が読まれる場面を説明されました。
 そして、77番歌の「瀬をはやみ〜」の歌が、映画と小説の中でどのように描かれているのかや、その歌の作者である崇徳院のことを、ご専門である民俗学の視点から読み解いたりと、興味深い話を展開していかれました。

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 みなさん、めったに聞けない話ということもあり、メモをとりながら熱心に聞いてくださいました。
 こうした内容のお話をする機会を、今後ともまた設定していただけるようにお願いしました。インドで「インド国際日本文学研究集会」をこれまでに8回も開催してきたように、ミャンマーでも日本文学を研究的な視点から読む方が少しでも増えるように、さまざまな形でお手伝いをしたいと思います。国際交流基金のヤンゴン事務所が創設されたことは、今後の文科系のイベントを通して日本の文化理解を深める意味からも、意義深い存在となります。
 佐藤さんとは、インド、エジプトの縁を引き継いで、このミャンマーでも国際的な文化交流のお手伝いすることになりました。気心の知れた仲間との活動は、気持ちのいいものです。継続を合い言葉にさらなる展開が可能となれば、私が取り組んでいる海外における文学の調査・研究も、少しはお役に立つことになると思われます。このことは、明日の『百人一首』のカルタ取り体験というイベントでも、確認したいと思っています。
 
 
 
posted by genjiito at 23:56| Comment(0) | ◎国際交流