2015年10月28日

京洛逍遥(379)苗字と屋号の仮名文字が変体仮名に見える

 京都三条通りにあるイノダコーヒー三条店の西隣り、本店の北に、こんな暖簾と看板を掲げる店があります。


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 暖簾を見かけて、店名と思われる「WI DO SU-YA」と読む店名らしき名称に目が留まりました。
 何のお店だろうか、と。

 その上に掲げられている板額の文字を見ると、その大きさが異なることから、「ゐど」と「寿屋」の2つに分かれることがわかりました。

 入口の左に掲示されている店名表示に「株式会社 居戸」とありました。
 「ゐど」が会社名であることに思い至りました。
 
 それでも何かすっきりしないので、中に入って話をうかがいました。
 社長さんが対応してくださり、すべて解明しました。

 会社名の「居戸」は、社長さんの代々の苗字だそうです。
 ここは、その「居戸」さんが経営なさる「寿屋」という会社なのです。

「ゐど 寿屋」のホームページ

 さらにうかがうと、今の人は「居」が読めないこともあり、父の代にひらがなで「ゐど」にしたそうです。
 それを聞いて、過日「国際文字コード規格」に提案された「学術情報交換用変体仮名セット」の中に、「ゐ」のグループには「井」と「遺」の2つしかないことを思い出しました。
 また、「い」のグループには、「以」「伊」「意」「移」の4つが変体仮名として提案されています。
 つまり、「居」はこれまでにも、これからも、変体仮名としては扱われていないのです。

 「戸」については、提案された変体仮名セットの中では、「土」「度」「東」「登」「砥」「等」の6種類があり、「戸」は今回の提案には入っていません。

 崩し字辞典の中には、「と」の字母として「戸」を採用しているものがあります(近藤出版社など)。

 いずれにしても、この「ゐ」と「ど」は、ひらがなではなくて読み仮名に由来するものなのです。

 私が最初に気になった「寿」と「屋」は、共に変体仮名としての「す」や「や」ではなくて、漢字として用いられた「寿」と「屋」でした。

 このところ、変体仮名についての問題を考えることが多いので、街中で仮名文字に出会うと、その読み方と来歴が気になるようになりました。

 飲食店街を歩くと、至る所に変体仮名が氾濫しているので、仮名文字を追うのに忙しくて、飲んでもいないのに右往左往の千鳥足状態です。
 場末の繁華街でも、まじめに調査研究をしています。
 もし見かけても、声をかけないで通り過ぎてください。
posted by genjiito at 22:20| Comment(0) | ◎京洛逍遥