2015年09月08日

ミニ展示《さまざまな言語に翻訳された『源氏物語』》-2015-

 現在、国文学研究資料館の展示室では通常展示「書物で見る 日本古典文学史」を開催中です。
 その展示室の特設コーナーで、明後日10日(木)より30日(水)まで、世界各国で刊行された21種類の『源氏物語』の翻訳本を展示します。

 これは、翻訳された中身よりも、表紙の楽しさを味わっていただくのが趣旨の小さな展示です。海外で『源氏物語』がどのようなイメージで受容されているのかを考える視点から、興味深い表紙絵の本を選んでみました。

 展示する本は、昨年10月に展示したものとほぼおなじ書籍です。
 その後も問い合わせがあったこともあり、今年も同じ本を展示することにしました。
 昨年度の展示風景は、以下の国文学研究資料館のサイトから確認できます。

http://www.nijl.ac.jp/pages/event/exhibition/2014/genjimonogatari.html

 展示本の説明などは、昨年の本ブログでの紹介記事を参照願います。

「各国で翻訳された『源氏物語』の表紙絵の展示」(2014年10月03日)

 一昨日の6日に、朴光華先生の新著『源氏物語─韓国語訳注─(桐壺巻)』を紹介しました。
 その中で、朴先生が「そんなに簡単に外語語で翻訳され、そして注釈などがつけられる『源氏物語』ではない。」とおっしゃっています。
 『源氏物語』を日本語で現代語訳するのも一生の仕事になるのに、それを多言語で翻訳するのには、その背景には各々の国でのさまざまな事情があります。

 しかし、そうした『源氏物語』という作品自体の問題は忘れ、今回は表紙だけを見つめ、そのデザインの背後に潜む『源氏物語』に対する各国のイメージを読み取っていただければ幸いです。

 なお、韓国で『源氏物語』のハングル訳は3種類が確認できています。
  (1)1975年 柳呈
  (2)1999年 田溶新
  (3)2007年 金蘭周
 この内、(2)の田溶新訳の本の表紙絵は、私が所蔵する教え子の絵を勝手に使い、しかも切り抜いて反転させるという、手の込んだ違法行為がなされたものであることは、上記ブログ「各国で翻訳された『源氏物語』の表紙絵の展示」の〈第3ケース〉【13】の解説文の中で、長文ではありますが詳しく書いた通りです。


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 最近でも、東京オリンピックのエンブレムに関して、デザインの盗用問題が話題となっています。
 デザインが似ている、似ていない、というのは難しい問題です。しかし、私が直面したのは、無断盗用と恣意的な改変でした。

 これなどはほんの一例であり、本のデザインにもそれぞれの事情がその背景にあることを思うと、今回展示した表紙もさまざまなことを語ってくれているはずです。
 ぜひとも、表紙のデザインが語りかけることばに、そっと静かに耳を傾けてみてください。

 前回は、なかなか見られない本が多いということで、遠くからお出でくださった方がいらっしゃいました。
 手にとってご覧いただくことはできませんが、書籍や表紙のデザインを通して、異文化交流をお楽しみいただければ幸いです。
posted by genjiito at 21:37| Comment(0) | ◎源氏物語