2015年05月14日

大阪府八尾市にある会社へ立体コピーの調査に行く

 JR八尾駅に久々に降り立ちました。というよりも、私が知っている50年前とは、当然のことながら様変わりしています。


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 八尾市は、私が中学生時代を過ごした所です。南高安中学校での部活動では、卓球をしていたので、八尾市の各校であった卓球大会に何度も参加しました。一番よかった成績は、市のベスト4でした。この駅の周辺の学校にも、試合で来た思い出があります。
 高校は、今日行った会社の前にある八尾高校ではなくて、大阪市内の高校へ行きました。
 それでも縁とは不思議なもので、この会社の近くのワインやお酒関係の会社に、数年前に2度ほど所用で来たことがあります。そんなこともあり、ここは遠くに来たという意識はありません。

 それはさておき、今日は松本油脂製薬(株)に、目の見えない方々のために活用できる立体コピー機のことで聞き取り調査に行ったのです。


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 あらかじめ連絡をしておいたので、この本社の第三研究部副主任の徳村さんに、いろいろとご教示をいただくことができました。
 盲人用の立体コピーシステムについて、私の知識をさらに確かなものとする、いい機会となりました。徳村さんには、長時間のご教示に感謝します。ありがとうございました。

 文字が浮き出る仕組みについては、展示室にあった次のパネル(「立体コピーシステム」と「熱膨張マイクロカプセル」)をご覧ください。


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 実際に活用されている立体コピー作成のシステムを見せていただきました。

 まず、紙の表面に数億個の熱発砲マイクロカプセルを塗布したA4用紙を用意します。松本油脂が開発したこの「カプセルペーパー」には、光や熱のエネルギーを吸収して瞬間的に数百倍に膨張する、小麦粉のようなマイクロカプセルが塗布されているのです。
 それを、立体コピー複写機に通すと、少しだけ文字が膨れ上がったプリントが出てきます。
 これは、複写機の熱に対して、紙に塗布されていた熱発砲マイクロカプセルが少し反応したための現象です。


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 これを、さらに立体コピー現像機に通します。
 この写真では、横にあった説明パネルを合成しています。


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 先ほどの紙を、この立体コピー現像機に通すと、このような状態で出てきます。


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 この立体コピー現像機が、先日紹介した、立川市中央図書館にあった機械(2015年03月17日)の最新機種だとのことでした。
 今日拝見した機械には、次の銘板が認められました。


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 次に、この立体コピーに装飾を施すところも見せてくださいました。これは、黒い文字を金色にする、デコレーションです。インクリボンを使ったカラープリンターを思い出せばいいと思います。かつて私は、アルプスの熱転写カラープリンターを使っていたので、この仕組みはよく理解できました。


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 なお、この立体コピーでは、青色や緑色はコピーできないことがあるようです。

 以下、徳村さんから伺ったお話のメモを忘れないうちに記し留めておきます。


・立川市中央図書館で使ったカプセルペーパーは20年前のものでした。しかし、原理は20年前と基本的には同じなので、そのまま使えるそうです。もっとも、新しいカプセルペーパーは、ベースとなる紙が改良を経てよくなっているそうです。

・現在は、パソコンから立体文字が打ち出せるようにもなっている。

・立体コピーは、名刺や足形などに活用されている。

・私が持参した木に浮き出させた文字のように、高低差をつけることは難しい。
 ただし、色付きのコピーを活用すると、高低差を出せるかもしれない、とのことでした。
 このことは、まだ実験していないので、やってみないとわからないようです。

・両面印刷の立体コピーはまだない。
 片面ずつ印刷した立体コピーを、水溶性の糊で張り合わせれば、後で両面のものを作成することは可能。

・この立体コピーには、自由に書き込みができる。
 筆記用具に影響されない。

・この立体コピーが何枚まで重ねられるかは、まだ加圧テストをしていないのでわからない。


 私のような素人の質問にも、丁寧に答えてくださいました。
 徳村さん、本当にありがとうございました。

 帰りに、展示室でTシャツに絵を立体的に印刷したり、グラスに立体文字を印刷してあるものを拝見しました。


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 この立体コピーについては、点字触読実験などがなされています。渡辺哲也・大内進「触読しやすい立体コピー点字のパターンに関する研究」(国立特殊教育総合研究所紀要、第30号、2003年)などの資料を何種類かいただきました。また後日紹介します。
 この著者の1人である大内進先生には、今回の「挑戦的萌芽研究」の連携研究者になっていただいています。

 このカプセルペーパーを利用したものは、今後ともさらに有効活用が想定されます。
 この松本油脂製薬(株)と松本興産(株)の、今後のさらなる発展を楽しみにしたいと思います。
posted by genjiito at 23:32| Comment(0) | ◎情報社会