2015年05月08日

ハーバード本「蜻蛉」の「江」と「比」は識別可能か

 昨夜は、日比谷図書文化館でハーバード本「蜻蛉」を読む勉強会がありました。
 日比谷公園の噴水が、しだいに暑くなる都心に涼気を送っています。


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 今回問題としたひらがなの字体について、以下に報告します。
 10丁表面に、次のようなひらがなが認められます。


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 どれが「江」で、どれが「比」か、その識別に迷います。

 これらの文字が書かれている前後を切り取って示すと、次のような語句の中の一文字であることがわかります。
 これを見ると、そのすべての「江」と「比」が識別できるようになります。


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 左から出現順に変体仮名混合版で翻字すると、次のようになります。


・きこ
・可多ら
・しの

・ゆく
・い


 つまり、最初に示したひらがな一文字は、左から順に次の読みとなるものでした。


江 ひ ひ 江 ひ 江 ひ


 この赤丸で示したひらがなを翻字する場合、何に気をつければいいのでしょうか。
 この例に限って言えば、ひらがなの起筆の部分に着目すると、解決するようです。

 筆先を紙面に突いてから、少し左に小さく円弧を描くように下右に向かう線が認められたら、それは「比(ひ)」としていいようです。
 もっとも、この後でそうとばかりも言えない例が出てくるので、あくまでもここでは、ということでの1つの判断です。

 結局、いくら見つめていても明確な説明ができない例に、時々出会うのが実情です。
 勢い、文字の流れのままに、文意を汲み取りながら翻字をしていくことになります。

 鎌倉時代の写本を翻字することは、そんなに難しくはありません。9割方は翻字できます。
 あとは、悩ましい文字が出てきた時に、その文字を1つのひらがなとしてではなくて、その前後の文字を組み合わせて一語として読むといいのです。

 折々に、こうした例を提示していきたいと思います。
 ご教示のほどを、よろしくお願いいたします。
posted by genjiito at 22:39| Comment(0) | ◎NPO活動