2014年06月28日

一年ぶりの日南町に来ました

 岡山から乗った出雲市行きの特急「やくも」は、1時間半で鳥取県の生山駅に着きます。岡山と鳥取の分水嶺をトンネルの中で潜った列車は、鳥取県に入って最初の駅である上石見駅には止まりません。上石見駅から東の方向に、池田亀鑑の生誕地があります。

 この上石見駅は、井上靖の『通夜の客』の舞台の入口でもあります。


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 この上石見駅の次の生山駅が、日南町の中心地です。
 駅に降りると、昨年はなかったはずの「古事記伝承の地」という幟が目に飛び込んで来ました。


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 ここは、島根県と共に神話の地です。昨年も、神楽の練習場所を訪問しました。そのことは、「日南町から米子へ─稲賀先生の墓参─」(2013年06月23日)に書きました。

 駅前は、落ち着いた駅舎が山を背景にしてたたずんでいます。
 日南町は山峡の町です。谷間を渡る風は、まだ肌寒さを伝えていました。


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 今年も、池田亀鑑賞の授賞式が、この日南町で開催されます。
 まず、役場へ行き、町長と教育長を表敬訪問しました。教育長は、今年度から変わられた方でした。

 町長との懇談の中で、日本文学研究者のジェームス荒木氏(ジャズ音楽家としてはジミー荒木)のことに及びました。そして、ジェームス荒木氏(1926─1991年)が日南町と関係のある方であり、しかも井上靖の小説『楼蘭』(エドワード・サイデンステッカーと共訳)や「風濤」などの英訳をなさっている、ということが語られました。
 池田亀鑑文学碑を守る会の事務局長をなさっている久代安敏さんも、荒木氏と日南町の関係についてはご存知ないようでした。私もまったく情報を持っていないことだったので、これから調べてみます。

 役場の前の広場に、松本清張と井上靖のオブジェがありました。これまでにもあったそうです。私の目に入っていなかっただけなのです。


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 井上靖のオブジェだけをここでは紹介します。


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■井上靖の世界 ワーク1
井上氏愛用の万年筆や机などをその
まま再現し、数々の作品が生み出さ
れた書斎のイメージを形にしていま
す。



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■井上靖の世界 ワーク2
40年間現役で活躍し続けた井上氏の
作品の数や量は大変多く、その長い
作家生活を原稿用紙で表現していま
す。



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■井上靖の世界 ワーク3
途方もなく遠く隔たった時空から伝えられ
た、冷ややかで無機質な物象を、現在に蘇
らせることは井上靖氏の歴史認識の方法で
あり、感動の急所です。
その激しい衝動を感じつつ、ひたむきに歩
き続けた井上氏と、井上氏の愛し続けたシ
ルクロードのイメージを重ね合わせていま
す。


 日南町の図書館は、よく整理されています。
 また、3人の司書の方が、時流と興味に流されない、長く読める選りすぐりの図書を選定しておられました。地域のみなさんの読書指向をよく読み取って、評価の高い作家の作品などは網羅的に集書しておられます。こうした、しっかりした図書が収蔵されている図書館を持つ町では、住民のみなさんも本を見たり読んだりするのが楽しいことでしょう。

 その中でも、松本清張と井上靖のコーナーは出色です。


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 また、池田亀鑑のコーナーは、これから充実していこうという雰囲気が感じられました。


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 このように、地域の特色を明確にした図書館は、なかなか得難いものだと思います。ますます多様な本が並ぶと、町民のみなさんもここに来るのがもっと楽しくなることでしょう。子供たちのための本も、非常に充実しています。

 松本清張の文学碑の一帯は、道路の拡幅整備のために工事中でした。


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 また、井上靖記念館は、いつも手入れが行き届いています。新しい花を植え替えられたそうです。


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 今回も、[ファームイン]ふるさと日南邑でお世話になります。
 入口には、昨年はなかった池田亀鑑の写真2枚が飾られていました。


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 これは、池田亀鑑の顕彰事業に深い理解を示してくださっている浅川三郎氏の寄贈になるものです。その横の「私のふるさと」という池田亀鑑のエッセーのパネルも、浅川氏が建てられたものです。
 こうした日本文化の理解者が日南町にいらっしゃるということは、これからもますますこの町が発展していくということでもあります。

 なお、浅川氏は『夢創 無限大』という、ご自身の貴重な体験記録を自費出版という形で今月刊行なさいました。


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 林業を中心とした多くのプロジェクトを起こされ、それが次の世代の若者に継承される契機となれば、と思います。

 今日の夕刻の山並みは、雲に覆われています。


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 明日は天気が心配だ、とのことでした。
 さて、第3回池田亀鑑賞授賞式はどのような催しになるのか、大いに楽しみにしています。
posted by genjiito at 11:44| Comment(0) | □池田亀鑑